アジアや中国で生産された品物が到着するアメリカのロサンゼルス港とロングビーチ港は、大消費地への重要なゲートウェイとして知られています。これらの港はトップクラスの荷扱量を誇り、現状では比較的スムースなオペレーションが行われており、弊社・米国法人が発行しているメルマガでも、コンテナ船の荷役や内陸へのトラックや鉄道の接続が大きな問題なく行われていることをデータでご案内させていただいております。
しかし、この重要な港湾地区が大混乱に陥ったことを記憶されている方も多いと思います。そのきっかけとなったのは、2020年のコロナ禍による消費環境の変化でした。いわゆる巣ごもり需要で消費財を中心に、前年比約20%増も貨物が押し寄せる状況となりました。他方、倉庫や港湾地域で働く作業員のコロナ感染によるオペレーション能力の低下により、港湾混雑が発生しました。しかし、それは翌年に起こることの序章に過ぎませんでした。
翌2021年、コロナ禍が落ち着くと、消費需要も一段落ついたものの、倉庫ではそれらの在庫で満杯となり、次々と到着する品物を受け入れる余裕がありませんでした。このため、鉄道やトラックで到着したコンテナが各地のターミナルや倉庫周辺で滞留し、その影響が港湾地区にも伝播するという悪循環に陥ってしまったのです。
港湾の運営会社もその状況を打開すべく、長期でターミナル内に滞留するコンテナに対し課徴金を科すなどの対策を講じました。また輸入が急増したことで、返却される空コンテナの蔵置場所もひっ迫し、更なる混乱に拍車を掛けることとなりました。空コンテナを回収するためのみに「スイーパー船」と呼ばれる船が運行されたこともありました。
2020年10月頃には入港待ちのコンテナ船は10隻以下でしたが、ピークとなる2021年10月には50隻以上のコンテナ船が入港待ちをしていました。この状況では、いつ入港して荷下ろしができるのか、また内陸への鉄道やトラックの接続がいつになるのか、全く見通しが立たない状態が続きました。離れた海上での待機や減速運行を強いられるなどの対応も聞かれました。
そんな中、日新では混乱が続く状況の下、お客様への情報提供の一環として、実際に入港待ちを行っている様子をお届けしました。ロサンゼルス国際空港を離陸し、180度旋回して東に向かって上昇する機内からロサンゼルス港・ロングビーチ港の当時の様子を記録した動画がございますので、ぜひご覧ください。