12フィートコンテナの歴史
12フィートコンテナの源流は、1950年代後半に旧国鉄で開発・運用をされた、現行の物より2フィート短い10フィートに遡ります。
当時の道路事情や法規制の範囲内で、運用しやすいサイズとして決定されました。
1970年代には積載重量5tに変更はないものの、長さを12フィートに拡大、それに合わせて容積も18.7m3に規定され、現在に至ります。
ISOコンテナと12フィートコンテナの違い
海上輸送用のISOコンテナと比較すると、単に長さが短いというだけでは?と思われる方も多いと思いますが、サイズ以外にも多くの違いがある12フィートコンテナ。最大の違いは、どの面に扉が付き開閉できるのか?という部分です。
ISOコンテナでは基本的に後の妻面の1カ所に扉が付き、そこから荷役を行います。
しかし12フィートコンテナは鉄道やトラックで運ぶことが前提で、車両に載せたままでの荷役を行うことを考慮し、妻面だけでなく側面が開く構造になっています。
今回取材させていただいたコンテナは現在全国的に運用されている「側妻二方開き」と呼ばれる構造です。読んで字の如く、側面と妻面が1面ずつ、2面が開閉できる構造になっています。この他両側面の2面が開く「両側開き」、両側面と妻板の3面「側妻三方開き」といった構造が異なるコンテナも存在しています。
12フィートコンテナをみてみよう
今回はJR貨物様の協力を得て、現在運用されている標準的なコンテナを2種類ご用意いただきました。
19Gと20Gと呼ばれるコンテナで、一般的に運用されている1,100mm × 1,100mmのパレットを6枚収容できるサイズになります。
コンテナの内部寸法(単位:mm) | |||||
コンテナ形式 | 開き | 長さ | 幅 | 高さ | 容積 |
19G | 側妻二方 | 3,587 | 2,325 | 2,232 | 18.7 m3 |
20G | 側妻二方 | 3,593 | 2,323 | 2,342 | 19.5 m3 |
双方ともに側面と妻板の2面に扉が付き開放可能となっているのは共通ですが、20Gは高さが110mmほど拡大されたことにより、容積も19.5m3となっています。ISOコンテナのハイキューブコンテナと同様の存在になります。
背が高いということで、以前は積載する貨車の床面高さの関係から運用範囲も限定されていましたが、新型貨車に統一された結果、現在ではその限定も解除となり、広く全国で運用されています。コンテナ内部はべニア合板貼りで、この辺りの構造はISOコンテナと同様です。ラッシングベルト等の固定用のリングも床面近くに確認することができます。
今回は標準的な12フィートコンテナですが、この他側面に開口部を設けた通風コンテナや全長が伸びた20フィート、31フィートといった様々なコンテナも存在しています。
外観に目を向けてみると、コンテナレッドと呼ばれる赤紫色に塗られ、表記もコンテナ形式と個体ナンバーのみといういたってシンプルなものです。20Gについては作業上、背高を他コンテナと容易に判別するためにコンテナ上部に白線が引かれ、注意喚起のマークも貼られています。
また、コンテナの下方部の四隅には、隅金具が取り付けられています。これは1995年に発生した阪神淡路大震災を機に、鉄道輸送が寸断された際の代替として船舶輸送を視野に入れた対策として取り付けられたもので、クレーン等での吊り上げに対応しています。近年では2018年の西日本豪雨により寸断された山陽本線の代替輸送の際に活用されています。
コンテナと貨車やトラックを固定する金具は緊締装置と呼ばれる独自のもので、コンテナの側面下部の2カ所に取り付けられた爪が、車両側の金具にはまり込むことでガッチリと固定されます。ISOコンテナの四隅に爪を挿し込んで固定するツイストロックとは、大きく異なるポイントです。
非常に小さい物で判別が難しいのですが、コンテナの側面にはIDタグが2個ずつ、計4個が取り付けられています。他方、貨物駅のフォークリフトに車載機器やGPSが取り付けられ、貨車やトラックへの荷役時にフォークリフトが近接すると、情報の送受信を行います。「TRACE」と呼ばれる管理システムで、反映された情報を基にコンテナの位置情報や重量の自動計測、フォークリフトへの作業指示や確認の効率化が図られています。
動画で実際の作業などをご紹介いたします。
環境への配慮!「鉄道コンテナ輸送」とは
単にコンテナを鉄道で運ぶことと誤解される場面も多いのですが、現在の鉄道コンテナ輸送は、最寄りの拠点駅までのトラックでの集荷・配送業務と鉄道輸送を組み合わせた、DOOR to DOORの複合一貫輸送サービスです。
鉄道コンテナ輸送は大きなメリットは、以下の4点にまとめられます。
①一度に多くの貨物を運ぶ「大量性」 | |
短距離輸送ではトラックの機動性が勝りますが、400km以上の中~長距離輸送は鉄道のメリットが活かせる場面が多くなります。少子高齢化の影響や働き方関連法案の施行など、トラックドライバーを取り巻く環境は年々厳しくなり、働き手の不足も社会問題として報道されております。 一度に最大で650トン(10トントラックで65台)の貨物を輸送することが可能な鉄道コンテナ輸送は、そのメリットを最大に生かしたポイントとなります。 |
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②お客様のニーズに対応する「利便性」 | |
片道の利用であっても、返り荷がないとコストに跳ね返ってしまうトラック輸送。鉄道コンテナ輸送は片道だけの利用が可能ですので、返り便の手配やコストの心配がありません。また発送駅と到着駅で各々5日間、合計10日間の一時保管が可能というのもメリットの1つ。 保管期間内であればお客様のタイミングに合わせた集荷・配送も可能となっており、倉庫代わりといった機能も持ち合わせます。 |
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③決まった時刻を守る「定時性」 | |
予め定められたダイヤに基づいて走行する貨物列車は大都市圏周辺で問題となる交通渋滞とは無縁で、決まった日時で貨物を輸送いたします。 発送駅・到着駅でも各々締切・引渡の時刻が定められていますので、安定的な輸送計画の立案が可能です。 |
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④すぐれた環境特性 | |
鉄道コンテナ輸送は環境にやさしい輸送手段として見直されています。CO2排出量で比較してみると、トラック輸送の約1/10以上といった数値もあるほど、他と比較しても最もCO2排出量の少ない輸送手段といえます。鉄道貨物協会による認定制度も存在し、モーダルシフトを行い環境負荷の少ない輸送手段を採用しているとして、エコレールマークを商品やコンテナに表示することもできます。 |
定期的に中~長距離をトラック輸送を行っているのであれば、鉄道コンテナ輸送のメリットを享受できる環境にあるといえます。
また、2024年には、働き方改革関連法によりドライバーの時間外労働の管理が厳格となり、従来と同じ感覚での配送が困難になるといわれております。この機会に遠隔地へ運ぶための手段として「鉄道コンテナ輸送」の利用を検討してみませんか。
当社では、横浜羽沢駅構内に横浜羽沢営業所を構え、国内200社あまりの全国通運系の輸送業者と連携し、国内各所での集荷・配送や鉄道コンテナ輸送のご手配を承っております。
横浜羽沢営業所は鉄道コンテナ輸送のコンシェルジュといった専門チームです。今まで利用したことがないというお客様の物流事情に合わせた、新たなサービスの構築やご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。