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国内の港と港を結ぶ内航船輸送

サステナ物流

2023.10.18

船を利用した輸送といえば、コンテナをたくさん積んだコンテナ船いわゆる外航船のイメージではないでしょうか。しかし、船を使った輸送は海外へだけとは限りません。大きな貨物や一度に大量の荷物を運びたいときなどに、国内の港を船で繋ぐ「内航船」を使った輸送についてご紹介いたします。

船積みのスケジュールに沿ってプラン立て

内航船輸送が決まったら、まずはお客様から提供される品物の搬入スケジュールや目的地への到着希望日をもとに、工程表を作成します。
船のチャーターも当社で行い、内航船を運行する船会社にも工程表を提出。具体的な運行プランが組み上げられ、運行責任者である船長の確認が行なわれます。このタイミングで荷役作業に掛かる時間や運行スケジュールが決定、関係各所への通知を行います。

工程表作成と合わせて、お客様よりお預かりした「貨物リスト」をもとに、輸送されるお荷物の詳細や写真、サイズや重量・個数といった物量データの取りまとめを行います。

内航船に積み込む荷物・貨物はその積載量の多さから少なくとも500、多いときには1000アイテムを超えることもしばしば。貨物の搬入日や保管に合わせ、梱包用資材の手配から梱包作業のスケジュール調整など、確認事項は多岐に渡ります。

ハッチプランと呼ばれる、船倉内へ貨物を積み込む計画を立てるのも当社の仕事です。
様々なサイズ、重量、形態を見極めながらプランを組み立てるのは、立体式のパズルのようで困難を極めますが、過去の経験や知識を活かしつつ作成します。また、内航船を停泊させる岸壁の使用に際して、関係各所への使用申請や本船の入出港届等の申請作業も並行して進めて行きます。

クレーンを使った内航船への積込み

移動式クレーンを使用した荷役

外航船に比べ船のサイズが小さい内航船は、波の影響を受けやすく、必然的に梱包の重要性が高まります。荷物の形状やサイズ、荷役作業の安全性を考慮し、木箱梱包やクレート梱包と呼ばれる木製の檻のような梱包を施し、いよいよ荷役作業のスタートです。

今回の作業では、荷物大きさ・物量などから作業効率を上げるため、横浜重量物梱包センターの眼前にある岸壁に積載作業用の移動動式クレーンを据え付け行いました。

作業員10数名程がマイクロバスで到着する中、本船が接岸。通常であれば上屋で保管した荷物を、一旦トラックに載せて輸送する必要がありますが、岸壁に隣接した本施設なら積み込みのスケジュールに合わせた梱包作業、フォークリフトでの直接搬出、岸壁に荷物を並べての積み込みと、時間と費用面で大きなメリットがあります。

並べられた荷物に作業員がワイヤーを4カ所に通し、バランスを見ながら慎重にクレーンで吊るします。コンテナとは違い、荷姿の違う荷物に対しても同じ作業を繰り返す必要があり、慎重な作業が求められます。作業監督の指示のもと、ハッチプランに合わせて船倉内の指定位置への積み付けを行います。スピーディーかつ抜群のチームワークで作業が展開され、材木を挟んで固定する養生作業も行われており、電動工具や金槌の音が船倉内に響きわたります。当社社員もフォアマンとして積み付け状況や個数等を記録しながら、積み付け作業の最初から立会います。物量にもよりますが、今回の積載は2日間をかけて行われました。

ハッチプランに合わせて貨物を並べます

ドライバー不足の解消にも活用できる内航船

陸上輸送と比較した場合、内航船による海上輸送は一度に大量の荷物を輸送することができるため、翌年に迫っている2024年問題をはじめとするドライバー不足の解消やCO2削減といった側面からも近年注目を集めています。

■内航船輸送のメリット

①CO2排出量の削減
現在、国内輸送の主流はトラックですが、CO2排出量の多い点が課題となっています。
同じ1トンの貨物を1km運ぶ際に排出するCo2は 、船舶ではトラックのおよそ6分の1といわれており、トラックからの切替でCO2を大幅に削減することが可能になります。

②ドライバー不足の解消
近年では、少子高齢化の影響で労働力人口が減少しているほか、インターネットショッピングに伴う小口配送の増加により、物流業会全体でトラックドライバーが不足しています。
また働き方改革関連法案により、ドライバーの時間外労働の管理が厳格化され従来ドライバー1人で長距離輸送していたものが2024年以降は同様の輸送ができなくなります。
内航船へ切り替えることでドライバーは拠点近くの港に荷物を運ぶ、もしくは港から拠点へと荷物を運ぶだけで済むため少ないドライバーでも対応することができます。

③長距離輸送時のコスト削減
船舶を使った輸送は、一度の輸送で大量の貨物を運べるため、トラックを使った輸送よりもコストを抑えることができます。トラックで長距離輸送をするとなると輸送に日数がかかり、ガソリン代やドライバーの人件費なども大きくなってしまいますが、内航船輸送に転換することで、このようなコストを最小限に抑えることができるといわれています。

内航船は今回のように本船を丸々1隻チャーターする不定期船の他に、定期船と呼ばれる決まった航路を航海するものがありますので、お客様の使いやすい形で利用いただくことが可能です。

不定期船(トランパー/Tramper) 荷主の依頼により希望の積港と揚港に配船する船舶のこと
決まった航路を運航するわけではない
定期船(ライナー/Liner) 決まった航路を運航する船舶のこと
集貨物量が少ない際は、定期船でも寄港しないこと(抜港すること)がある

当社では海外への海上輸送のみならず今回のような国内海上輸送も承っており、陸上輸送が難しい長尺・重量物や建設機械、食品原料や化学品など、豊富な実績がございます。

また、内航船への船積みは横浜重量物梱包センター等の立地を生かし、横持ち費用を低減できる可能性がございますので、お気軽にご相談ください。

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