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日本向け、大型生産設備の一貫輸送

商品を生産する上で欠かすことのできない工場の設備機械。
世界各国への輸出のイメージが強い設備機器ですが、最近では国内工場での商品生産に切り替える企業も増えています。

今回は、中国で生産された設備機器を日本に輸入する事例を元に、日新の設備輸送についてご紹介いたします。

 

参考リンク➡日新のプラント輸送を知る

当社中国現法との共同プロジェクト

中国に生産拠点を持つ設備機器製造メーカー様からの輸送依頼

1955年に日本で最初の中国物産展示会の一貫輸送を受注して以来、60年以上の実績を有する日新では、中国内に複数の現地法人を構えております。
今回のプロジェクトは、中国に製造拠点を持つ設備機器製造メーカー様より、当社の現地法人である日日新・南京支店へ「日本向けに大型の生産設備一式の輸送」のご依頼をいただいたことから始まりました。

中国側で製作される生産設備は大型の構造物のみならず、付属する様々な細かな機器類までを一貫で輸送するというもので、その量は全体で約7,000トンほど。コンテナに収まらないサイズの物が多く、フラットラックオープントップといった特殊コンテナを中心に輸送を開始しました。

しかしながら、大型の品物や重量物の積載を目的とした特殊コンテナでも収まらないサイズの品物があり、その数はおよそ全体の1/3程度。約2,500トンにもおよびました。その物量や建設現場への搬入スケジュールの面から、在来船を丸々一隻チャーターして輸送する方が有利と判断し、その本船の手配も行うこととなりました。

 

 

在来船で運ぶ

在来船は、いわゆる一般貨物船です。
皆さんがよくご存じのコンテナ船とは異なり、船倉にバラで品物を積み込む形となるため、今回の品物のようにコンテナの規格から外れてしまう大型貨物や重量物、長尺貨物、バラ荷など、様々な荷姿やサイズの貨物を一度に輸送するのに適しています。

本プロジェクトでは先ず南京支店が手配した在来船で、お客様の製造工場まで品物を引き取りに伺うことから始まります。

在来船の輸送には、在来船が接岸できる岸壁「バース」の有無もポイントとなります。
プライベートバースと呼ばれる専用のバースを敷地内にお持ちのお客様の場合は、船をそのままバースに接岸させ搬入を行い、専用バースがないお客様の場合には公共バースや近隣倉庫の使用手配の他、品物をトラックで船が接岸できるバースまで輸送する必要があります。
今回のケースは、プライベートバースをお持ちのお客様であったため、工場内での荷役作業を行いました。

在来船の荷役作業は、輸出側だけでなく輸入側でも同様の条件が必要です。
今回の品物の搬入先は関東エリアの内陸部であったため、当社の横浜重量物梱包センターを使用して作業を行いました。

 

実際の在来船荷役作業をみてみよう

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横浜重量物梱包センターは、横浜港・本牧Aふ頭に位置しており、重量物や大型の品物を主体に取扱う保税施設です。
目の前に公共の岸壁があるため、着岸した本船から直接品物をクレーンで積み下ろしが可能です。また同施設は保税倉庫となっているため、品物の一時保管を行う上屋としても活用が可能です。
今回の輸送では船から全ての品物を降ろした後に、搬入先となる建設現場の進捗によって輸送の順番やタイミングが異なり、納期の調整を行う必要があったため、同施設の上屋および全長96mの大ヒサシが活躍しました。

大型の設備輸送は陸揚げした品物の一時保管、倉庫内でのレイアウトも欠かすことのできない検討事項の一つになります。単に船から下ろした順番に品物を並べて保管するのではなく、建設工事等の進捗を輸出側・輸入側、双方の担当者から確認し、搬出順を想定しつつお客様のリクエストにスムースに答えられる体制を整える必要があります。

今回のケースのように多岐に渡る品目があり、複雑な手配となる輸入通関も自社内で完結。お客様から提供された各種情報や資料をもとに通関部との事前確認を行い、輸送スケジュールに遅滞を起こすことなく手配することが求められます。こうした手配も複数の窓口にまたがらず、一つの窓口で手配することが可能です。
現地側との調整、海上輸送、船社代理店業務、船内荷役、通関、保税倉庫での一時保管、配送という工程管理を一つの窓口で行えることが、当社プラントサービスの特徴です。

実際の荷役作業を動画でご紹介いたします。


大型の貨物輸送に欠かせない法律と輸送ルート確認

横浜重量物梱包センターから搬入先の工場建設予定地までの距離は約100キロメートル。
大型貨物の輸送については道路法(車両制限令)をはじめ道路交通法(道路交通法施行令)、道路運送車両法(道路運送車両の保安基準)により車両諸元の制限があり、それぞれの法の目的に応じて、車両の幅、長さ、重量等について規定が設けられてるため、事前に陸運局や警察を始めとする関係機関へ特車申請と呼ばれる手配が事前に必要となります。

輸送においては、ルート上の建造物には特に気を払う部分で、自ら車を走らせて調査を行います。ルートサーベイと呼ばれる確認作業で、道路幅、カーブ、軸重といった道路条件はもちろん、信号機や歩道橋、電線といった上方に接触の危険性がないかどうかという確認をレーザー測定器を片手に作業を積み重ねて資料を準備します。
それらの調査を基に最終的な輸送ルートを確定し、トレーラー会社との打合せを通じて、各種費用の算出・見積もりの作成が可能となります。

実際には品物に見合った車輛の確保、当該日程の特車申請を行い、特殊車両通行許可が下りてようやく公道走行が初めて可能となります。前述の通り、その配送順は建設現場の工程の進捗が優先されるため、お客様のご担当者と何度も打ち合わせを重ねた上で配送プランが完成しました。

【道路法】 一時的制限値

道路は一定の構造基準により造られており、そのため道路法では道路の構造を守り、交通の危険を防ぐため、道路を通行する車両の大きさや重さの最高限度を次のとおり定めています。
この最高限度のことを「一般的制限値」といいます。(※道路法第47条第1項、車両制限令第3条)

そのため、下記の寸法や重量の一般的制限値を 1 つでも超える場合には、通行許可または通行可能経路の確認の回答が必要となります。

通行条件

通行許可には、車両の重さや寸法によって下記のような条件が付きます。
(注)「徐行」とは、車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう(道路交通法第2条第 20 号)
(注)誘導車は、特殊車両以外の車両で、国土交通省が提供するオンライン教材による講習またはこれに準ずるものとして国土交通省のホームページに掲載された講習を受講した者(有効な講習修了書を有する者に限る)が運転するものであることを確認できるものに限る

 

特大の貨物を現場までお届けする

エアサスつきの低床トレーラー

今回の輸送は、品物の高さ制限をクリアするため、低床トレーラーと舵切り低床トレーラーの2種類を用意しました。

品物に大きな衝撃を与えないようにエアサスペンション呼ばれる空気のバネ(サスペンション)で車体の高低を調整し、走行中の衝撃(道路上の凸凹など)を和らげるクルマ専用の装着部品をつけた車両を指定。また、舵切り低床トレーラーは積載される品物のサイズによって車体長が伸縮できる機能を持った車両を手配いたしました。

まずは、横浜重量物梱包センターで一時保管していたお品物をトレーラーに載せ替えます。
同施設の開口部は8m × 8mあり、大型の品物を積載したトレーラーも通れる大きさで、40tの天井クレーンを使い慎重に品物をトレーラーの上に下ろし固定します。

舵切り低床トレーラーへは、側面から大型のフォークリフトを用いて荷役を行います。
大きな品物は荷重のバランスや固定方法が重要となるため、トレーラーの周囲に人を配置し、ときにフォークリフトドライバーへアドバイスを行いながら、数度の微調整繰り返し慎重に所定の位置に固定します。
3台の特殊トレーラーに積み付け行うと、車両は一旦埠頭内で待機となります。
特殊車両走行許可を取得したといっても交通量の多い時間は事故の危険性が高いため、公道走行は交通量の少なくなった深夜帯に行います。
青ランプの先導車を先頭に目的地へ向け出発、約5時間を掛けて無事納品作業が完了いたしました。

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日新では年間多くのプロジェクトを担当しており、重量物や大型貨物の取扱いを専門としたチームがございます。
国内外を問わず各所での法規制や制限をクリアし、海上・航空・鉄道・陸上輸送や輸出入・国境通関といった複雑な複合一貫輸送手配も一つの窓口で行うことが可能です。
この他にも工場等からの搬出や据え付け、試運転に至るまで、そのまま工場設備を移転するといったニーズにもお応えいたします。
プロジェクト輸送のコンシェルジュ、日新のプラントチームにご相談ください。

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