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出張梱包のスペシャリスト!米国日新オフサイトチーム

自動車産業の一大拠点アメリカ・オハイオ州コロンバス。
当社の米国現地法人【Nissin International Transport(米国日新)】では、営業拠点や倉庫を構え生産活動を日々サポートしております。
自動車部品の保管や小組、配送だけでなく、工場設備の移転といった生産拠点特有のニーズにお応えすべく、出張梱包を専門とするオフサイトチームが存在します。今回はその専門チームにスポットを当てご紹介いたします。

「オフサイトチーム」とは

オフサイトチームは工場で用いられている生産設備やライン一式、大きなプレス機から小さな精密工作機械に至るまで、お客様の工場や倉庫に出向いて梱包作業を行うことをメインにしたチームです。
様々な機械や設備を米国内の移転はもちろんのこと、日本をはじめとする海外との輸出入を含めた輸送をフォワーディングチームと連携して一貫で手配しています。

デトロイト、インディアナといったコロンバス周辺のみならず米国各地での出張作業や手配も行うフットワークの軽さも特徴の一つです。

米国からインドへ輸出作業

インド・チェンナイへの生産設備の輸送が持ち掛けられたのは昨年5月頃。米国国内にある工場の稼働が終了することに伴い、すべての機械類を搬出しインド・チェンナイへ輸出するというミッションでした。

工場へ常駐し機械類の確認

工場内に設置された臨時オフィス

コロンバスの拠点から車で30分ほどの場所にあるその工場を訪問すると、単に梱包・輸送するだけではなく、様々な条件があることが分かりました。
移転先のインドのメーカーの技術者が合流し、現地側での機器配置や搬入順を考慮した発送手配を行わなくてはならないことや、コロンバスの工場建屋の明け渡し日が決まっているため、その期限内に発送を終わらせなければいけないことなど、様々な制約があることが分かりました。

チームを率いるリーダーのWESは「工場内に事務作業を行う机を置かせてほしい」とその場でしばらく常駐しながら仕事を進めることをリクエストし、すぐに検討を始めました。

工場の新設や設備の更新ということであれば、図面やデータを見ながら梱包や輸送を検討できますが、今回は全て長年用いられた機械で資料がほとんど存在していない状態でした。それに加えて使用目的に応じて後天的な改造が施されており、仮に資料があっても役に立たないといった状況でした。膨大な機械を前にしてWESは「一つずつ現物を見て決めていくだけだよ」とメジャーを手に確認作業を始めました。

今回の輸送では図面やデータがない機械が多く見受けられた

梱包方法の検討・製作

描き上げられた図面と指示書

工場設備や工作機械が主体なので、多くが木箱梱包となります。縦・横・高さといった基本サイズはもちろん、取付台や脚のボルトの位置をメモしていきます。またフォークリフトで持ち上げるため位置の確認、吊り上げ用のリングやフックの位置といった、移動に必要となる部分を確認することも重要な項目の一つです。

撮影した各部の写真や採寸したメモを参考に、各々の機械に合わせた木箱の図面を描いていきます。CADで図面を描くのが常識な時代ではありますが、ここでは手描き。「複雑な機械のときはCADを使うけれど、今回のような機械であれば手描きの方が早くて作業現場に携わる人にも伝わりやすい」と、借りたデスクの上で黙々と図面を描き上げていきます。

図面を描き終わると、すぐにコロンバス倉庫のオフサイトチームのスタッフに転送され、木箱の制作に取り掛かります。倉庫内の一角には木材の加工設備があり、テーブルソーを始めとした各種機械が備え付けられています。図面に沿って木材を指定されたサイズに切り出し、土台やパネルを作ります。機械の形状やサイズ、重量に応じて加工が容易なことも木材が使われる利点の一つです。このように準備を進め、現場では組み立てるだけという加工済の状態に仕上げてトラックに積載し搬入します。

米国日新・コロンバス倉庫内にあるオフサイトチームの木工工場

工場内から搬出ルートの確認

現場では梱包資材の搬入を前に、機械の移動と搬出ルートの確認が行われます。今回は着地であるインド側から指定された順番もあるので、それを考慮しながらの搬出順の検討を進めます。安全柵の取り外しや床の段差・勾配の確認なども必須の項目です。

資材搬入が始まると現場は慌ただしくなります。
狭い場所から慎重に機械類を搬出し、梱包を仕上げていきます。
海上輸送での湿気対策としてバリアを施すのは必須で、各所でフィルムを広げて機械全体を包み込む作業が行われます。また取付脚の形状から安定の悪い機械については、その形状に合わせて追加工を施して対応していきます。

コロンバス倉庫内で梱包資材を制作し、現場で追加工を施す

木箱が組み上がると出荷の優先度に合わせて航空便はコロンバス倉庫へ転送され空港へ出荷。海上輸送便は現場でバンニング作業を行い、直接内陸の鉄道ヤードに搬入・発送されます。出張梱包は倉庫や梱包工場を経由せずに直接発送手配が可能なため、時間やコストを削ること可能になります。
海上コンテナに積載できるサイズを大きく超える場合には、対応可能なクレーンや低床トレーラーを手配し輸送を行います。

海上コンテナへのバンニング作業も着地側の事情を考慮した順番や割り振りを行う必要がありましたが、リクエスト通りに対応を進め、無事インドへの発送を終えました。

海上コンテナへのバンニングが進む

米国国内に限らず移転サポートを対応

米国日新ではこのような出張梱包を基軸とした、工場や機械設備の米国内・海外問わず移転サポートを積極的に展開しております。日本人スタッフによる対応だけでなく、専門の出張梱包チーム(オフサイトチーム)が直接作業を行うことでお客様のニーズに応じた輸送サービスを構築することが可能です。

米国日新とインド側のスタッフで記念撮影

先日とある日系企業のご担当者から移転サポートの相談をいただきました。
「今から30年前、自分が若い頃に米国に持ってきたこの機械は、日新にお願いして工場へ搬入してもらった。自分の米国での駐在生活の終わりとともに、この機械を日本に戻すことになったので、そのときもまたよろしく頼むよ」

機械や設備を梱包して安全に輸送するだけでなく、それらが歩んできた歴史や関わった人の想いも大切に運ぶ、それがコロンバスの出張梱包チームです。

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