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お客様の品物を守る梱包とは

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2026.02.18

フリマアプリでの梱包評価と同様、輸出入においても「無傷で届くこと」は顧客満足度を左右する重要指標です。物流における梱包は単なる外装ではなく、過酷な輸送環境から価値を守る命綱。今回は横浜重量物梱包センターの取材をもとに、湿度や衝撃から製品を守り抜くプロの技術と、ビジネスの信頼を支える梱包の基礎知識を深掘りしてご紹介します。

 

梱包の種類

バリア梱包

バリア材と呼ばれる特殊フィルムで貨物を完全に包み込む梱包です。 海上輸送において最大の敵は、温度変化によって発生する「結露」と高い「湿度」。単に包むだけでなく、内部の空気を強力に吸引して真空状態に近づけ、乾燥剤(シリカゲル)を同封することで、金属製品の大敵である酸化(錆)を徹底的に封じ込めます。精密機械や自動車部品など、わずかな錆も許されないデリケートな製品を、工場出荷時のクオリティのまま守り抜く。まさに「製品の時間を止める」ような、職人の技が光る工程です。

木箱梱包

品物に合わせて、様々なサイズの木箱が用いられる

木製の梱包材を使用した、最も強固な梱包方法の一つです。貨物のサイズや形状に合わせた梱包が作り易く、コストも比較的安価に抑えられることが特徴で、様々な品物の梱包に広く用いられています。しかし木材には病害虫が潜んでいる可能性があるため、国際基準である「ISPM NO.15」に基づいた燻蒸済みの木材や、非木材(合板・LVL材)の使用が厳格に義務付けられています。

 

この規制をクリアしていないと、相手国での輸入拒否や積み戻しといった重大なトラブルに発展しかねません。日新では、世界各国の規制動向を熟知したスタッフが、仕向地に合わせた最適な資材を選定。強固な「守り」とスムーズな「通関」を両立させ、お客様のビジネススケジュールを確実に支えます。

 

スチール梱包

スチールケースの一例

重量物梱包に最適な鉄製資材を用いる方法です。最大の特徴は、木材不使用のため各国の害虫規制を考慮する必要が全くないこと。防塵・防湿性も極めて高く、精密機器や大型エンジン等の重量品輸送で真価を発揮します。
頑丈ながら開梱がスムーズな点も大きなメリット。使用後のリサイクルが容易なため、サステナビリティへの関心が高まる中、環境負荷を抑えた梱包スタイルとして選ばれています。

ケアマーク

宅配便でお馴染みのケアマークですが、輸出貨物でも非常に重要な役割を果たします。 日新では、シールではなく「ステンシル(型抜き)」を用いた塗装を原則としています。 海上輸送では、荒天による激しい揺れや、高温多湿な環境にさらされます。シールでは剥落や変色のリスクがありますが、直接塗装を施すことで、過酷な輸送環境でも「上向き厳禁」や「水濡れ防止」といった重要な指示が消えることはありません。

言葉が通じない海外の港でも、このマーク一つが荷役作業員への確かなメッセージとなります。お客様の大切な品物を最後まで丁寧に扱ってもらうための、現場の知恵とホスピタリティが詰まった仕上げ工程です。

一般的なケアマーク

  • 天地無用(This Way Up) 「▲」が指す方向を常に上にすることを指示します。機械の油漏れや、精密部品の配置崩れを防ぐための最重要マークです。
  • 水濡れ防止(Keep Dry) 傘のマークでお馴染みですが、輸出では「雨天時の屋外作業禁止」という強い意味を持ちます。湿気に弱いバリア梱包品には欠かせません。
  • 取扱注意(Fragile) ワイングラスのマークは、衝撃に弱いことを示します。たとえ頑丈な木箱に見えても、中身がデリケートであることを荷役作業員に視覚的に訴えます。

貨物の重心を表すマーク(Center of Gravity)

貨物のバランスを示す重要指標です。外見が左右対称でも、内部の機械配置で重心が偏ることは多々あります。これが不正確だと、吊り上げた際に荷が傾き、落下やワイヤー切断等の大事故を招きかねません。
梱包前に正確な重心を算出し明記することで、現場作業員が「どこにワイヤーを掛ければ水平かつ安全か」を即座に判断できる、安全管理の要です。

NO FORKLIFTマーク

フォークリフトによる荷役が危険な貨物に施される重要な警告です。重量バランスが極端に偏っている大型貨物や、構造上、底面がフォークの爪の圧力に耐えられないデリケートな製品などが対象となります。無理にリフトを使用すると、転倒や底抜けによる貨物損壊を招きかねません。あえて「禁止」を明記することで、クレーン等の適切な荷役方法を促し、輸送に関わる全ての安全を守り抜きます。

チェーンマーク(Sling Point)

クレーン等で吊り上げる際、ワイヤーやチェーンを掛けるべき「強固な箇所」を示すマークです。大型貨物は、どこでも吊れるわけではありません。強度のない場所を吊ってしまうと、木箱の損壊や中の製品の歪みを招く恐れがあります。適切な「スリングポイント」を明記することで、巨大な貨物も水平かつ安定した状態で吊り上げが可能になります。確実な荷役を実現し、貨物の安全を支えるための重要な印です。

 

輸出梱包の品質は、到着地での製品クオリティ、ひいてはお客様のビジネスの信頼性を左右するものです。日新の横浜重量物梱包センターでは、貨物一点ごとの特性を考慮し、最適な梱包設計と精密なマーク施工作業が徹底されています。高度な技術と国際基準への深い理解を通じて、輸送中の苛酷な条件から貨物を守り抜き、世界各地へ確実に届けるための安全な物流基盤を提供し続けます。

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