物流の最新情報をお届け

37
シッピングマークは貨物のユニフォーム

お役立ち

2022.09.14

日新では、北米・欧州・東南アジア・中国の各仕向け地、またシンガポールを経由してその他の多くの仕向け地へ、海上混載サービスを展開しております。
いわゆるLCL(CFS貨物) とよばれる輸送サービスですが、ご利用いただく際にはいくつかご協力をお願いしたいポイントがございます。コンテナを1本貸切るFCL(CY貨物)サービスとは事情が異なり、海上混載サービスならではのポイントとなるのですが、今回はその中からシッピングマークについてご案内いたします。

シッピングマーク(荷印)とは

海上混載サービス(LCLもしくはCFS貨物) は、複数の荷主様からお預かりした品物を同じ仕向け地へのコンテナに積載して輸送するサービスです。様々な品物がございますので、その荷姿・梱包や個数、重量は各々異なってきます。そのため、梱包ごとにシッピングマークとよばれる表記を施す必要がございます。時には荷印、ケースマークとよばれるものですが、貨物の外装に表記される記号や番号のことを指します。
これは多くの品物が行きかう倉庫内で、取扱いや判別を確実かつ容易に行うことを目的としております。取引条件によっても多少異なりますが、輸入者側から指示をされた内容を基として、下記の項目の内容が記載されています。

メインマーク ひし形、長方形や横長の丸に囲われた社名やロゴ
仕向地港 品物の行き先を示したもの
ケースナンバー 品物の個数を示したもの
原産地表示 品物の原産地を示したもの

輸出者(荷主様)が貨物に施すシッピングマークは、サッカーのような団体スポーツのユニフォームに例えることができます。

いわば広い倉庫(グラウンド)にいる個々の梱包(選手)が、どの仕向け地・B/L(チーム)に所属しているのか、一目で遠くからでも誰の目にも明らかでなければなりません。上記のサンプルのように、個々の梱包に大きくはっきり表示する必要があります。ひし形に囲われた「ABC」は、ユニフォームのチームロゴに相当します。

 

倉庫でみかけた誤認されやすい事例

細かく書かれているけれど、これサイドマークです

B/L券面のシッピングマークの欄に、下記のような記述をしばしば目にします。

品物に関する情報が細かくしっかり記載され、一見シッピングマークのように見えますが、肝心のチームロゴに当たるメインマークが見当たりません。

各項目の:(コロン)の右側、〇〇で表記された部分は、その梱包の中身を表しています。その品物の詳細を表しているもので、一般的に「サイドマーク」と呼ばれるものとなります。フォワーダー・運送人の立場からすると、メインマークが抜けている以上は、仕向け地で仕分・引き渡しをする際のシッピングマークとして認識することは難しくなってしまいます。

1件のインボイスおよびB/Lが、単一の“STYLE”“アイテム”“P.O.”…で構成、つまり各行の:(コロン)右側に記載される明細が単一であれば共通となりますので、シッピングマークの役割を果たす可能性もありますが、そのような記載が数種類に上る場合、当然ながら記載される内容が異なりますので、シッピングマークとよべない内容となってしまいます。

小さすぎるラベル

最近では、シッピングマークがバーコードラベル等と一体化しているケースも見受けられます。必要項目は記載されているものの、商品管理用のラベルといった性格のものですので、小さな文字で書かれており、認識がむずかしいということも増えてきました。

同じ仕向け地に複数の荷受人がある場合は要注意!

同一の荷送人(Shipper)から同一の仕向け地に、複数の船積(B/L)があるケース、つまり同じ荷主様から同じ仕向け地の複数の荷受人に発送するケースでは入れ違いが起こらぬように、特に配慮する必要がございます。

荷受人の会社名を大きく記載したり、メインマークの形を変えたり、認識されやすい表記が求められます。

サッカーでいえば同じチーム内の紅白戦において、異なるビブス等を着用して、敵味方をハッキリさせるのに似ています。

”名なしの権兵衛さん”ことノーマーク

稀にノーマーク(シッピングマークがない状態)での搬入や取扱いを打診されることがございます。

シッピングマークの貼り付けは法律や条例で規定・強制されてはおりませんが、混載貨物サービスで用いられる倉庫では、前述の通り、様々な荷姿・仕向け地への品物が混在しており、シッピングマークがない状態では品物の正しい認識が難しい状況が生まれかねません。

ここに挙げた4つの事例にもある通り、国内用や商品管理用に表記・貼り付けられているものでは、海上混載サービスで求められるシッピングマークに適さないといえます。日本はもちろんのこと、様々な仕向け先の国の倉庫や作業員が一目で認識できるシッピングマークが付けることが、誤認や誤配送といった事故を防ぐ重要な手段の一つですので、ご協力をお願いいたします。

 

B/L(=船荷証券)上の約款におけるシッピングマーク

最後に当社のB/L約款で定めている「シッピングマークに関する条項(和訳)」をご紹介いたします。他の多くのフォワーダーの約款もほぼ同様の内容となります。

運送人が運送品を受け取る前に、荷主によって運送品、梱包又は容器に縦5センチメートル以上の文字と数字により、記号が陸揚港名とともに明瞭、かつ、消えないようにマークされ若しくは明示されない限り、運送人は、マークにより引き渡しの不履行または遅延についての責任は負わない。

海上輸送の相手先は言葉や商習慣が異なる場合がほとんどです。
要らぬ誤解や誤認を与えないためにも、誰が見ても分かりやすく、かつ判別しやすい、大きく明瞭なシッピングマーク明示へのご協力をお願いいたします。

また、貴社が海外より輸入した商品のケースマークが、上記の誤認されやすいものに該当するような際は、荷送人様に対して大きく明瞭なシッピングマークを施すよう、働きかけをお願いいたします。

RELATED ARTICLES関連記事