根岸事業所の仕事とは?
日新グループでは、広く一般にご利用いただける現場や倉庫、サービスを展開しておりますが、特定のお客様の現場や工場に事務所を開設し、専門的な作業を請け負っております。大手石油元売メーカー様の構内作業もその1つで、工場内でドラム缶や紙袋等への充填作業や船舶やタンクローリー、トラック等の製品出荷に伴う出荷作業をグループ会社である日新産業とともに担っております。
根岸事業所では鉄道での製品輸送も行われておりますが、構内での入換作業やJRへの引き渡し等、安全第一をモットーに小さな鉄道会社ともいえる作業を展開し、重要な社会インフラの一翼を影ながら支えております。
新型機関車導入の背景
製品輸送に用いられるタンク車ですが、通勤通学で利用している電車とは異なり自らの力で走行することはできず、機関車に牽引される必要があります。
当社ではこのタンク車の構内の入換作業用に機関車を3両所有しております。そのうちの1両、1981年製造のD504号機の老朽化が進み、保守部品の調達もむずかしくなった現状から約2年前より代替機の導入を計画、2024年3月にNDD5603号機が完成しました。
NDD5603号機の概要
新潟県内の製造メーカーから到着した機関車は、多くの撮影者の注目を浴びながらの輸送となりました。特にカンパニーカラーをベースにしたカラフルな塗装は、根岸駅のホームからでも見えることから、少しでも明るい前向きな気持ちになっていただけるようにと願いを込めて決定されました。ユニークなのは運転席屋根上に描かれた大きな社章。航空写真等で上空からも見えることを考えて採用されました。
牽引力などの使用条件に基づいた設計は既存のNDD5601/5602号機を踏襲し、自重も同じ56tになります。引退するD504号機の自重は50tのため、他の車両に比べ若干軽いこともあり、どうしても粘着力での差があったと聞きます。今回導入されるNDD5603号機の最大牽引重量は1950t。製品を満載したタンク車は1両60tなので、単純計算で31両余りを引き出す性能があります。また実際に乗務する機関士の意見を設計に反映したものとなりました。
例えば運転台に座った状態で、デッキ脇に立つ誘導員の挙動がみえるように妻板下部にも窓を設けて視認性を向上させる等、各部に改良が加えられています。
実際に運転を担当する機関士に確認したところ、試運転段階での機関車の挙動やブレーキの応答性なども良好といった感覚だそうです。
出発式の様子
3月28日には関係者一同が根岸事業所・機関庫前に集まり、ささやかな出発式が開催されました。当日は当社社長の筒井による出発合図のもと、関係者を乗せて構内を試走する等のセレモニーが行われNDD5603号機のデビューを飾りました。
試走中、「テールライトが片側しか点いていない、故障ではないのか?」といった声も上がりましたが、実は意図的に行われているもので、向かって左側のみ点灯しているのは入換中であるといった意味を示しているのだそうです。
機関車には日新産業の若手社員がデザインしたヘッドマークが取り付けられました。「日新の歴代の機関車やかつて在籍して根岸にも縁の深い日本最大のタンク車、タキ64000のシルエットを取り込みました」と、過去から現在に至る根岸事業所が歩んできた歴史を象徴した内容となっています。
NDD5603号機はすでに構内での走行は行っているものの、書類手続の関係で本格的な運用入りまではもう少々時間を要するようです。今後はこのカラフルな機関車が根岸駅のホームからご覧いただける機会も増えると思います。