ジャヤインドネシアについて
ジャヤインドネシアは2014年3月に設立した現法で、インドネシア国内でのサービスを広く展開しております。
ジャカルタ地域では3カ所の倉庫運営を行い、保管・ピッキング、梱包等の業務を行っております。また自社トラック・トレーラーで、近隣の工場へのJIT配送を担っております。
インドネシアの鉄道事情
インドネシアの鉄道総延長距離は約7,000km。そのうちの約7割程度がジャワ島の路線となっています。鉄道の運営は上下分離方式が採用され、政府は線路をはじめとするインフラ部門を保有し、クレタ・アピ・インドネシア(PT. Kereta Api Indonesia・インドネシア鉄道会社)が運営や車両・駅設備等の保守整備を行っています。
日本のJRと同じ線路幅(1,067mm)が採用されているため、ジャカルタ近郊圏の都市輸送では日本で活躍していた電車が多く活躍していることも有名です。直近では中国主導で高速鉄道が建設され、2023年10月に首都・ジャカルタからバンドンまでの140kmの区間が開通しました。
東西に大きく延びるジャワ島では旅客輸送が主体であり、ジャカルタから各地を結ぶ中・長距離列車が運行されています。非電化ではありますが、ジャカルタ~スラバヤまでの北幹線では全線の複線化が完了し、南幹線でも単線区間は残すところ数十キロ程度となっています。
頻繁に運行される旅客列車の合間を縫って貨物列車も運行されており、年平均1,200万トン程度の輸送量があります。ジャヤインドネシアでは貨物輸送の運営を行っているKALOG社(PT. Kereta Api Logistik)と協業し、2014年から首都・ジャカルタと第二の都市であるスラバヤの間、約750kmのインドネシア国内の鉄道コンテナ輸送を提供しております。
空コンを有効活用したサービス
インドネシアの鉄道貨物輸送では、石炭や石油、セメントといった品目が多くみられましたが、近年、ジャワ島を中心にコンテナ輸送が盛んになっています。
日本のJR貨物が運用している5トンコンテナのように、専用のコンテナが運用されているのではなくISO規格のコンテナが用いられています。このサービスが誕生した背景には、インドネシアの物流事情が関係しています。
ジャカルタ港はインドネシアの玄関口として海外から様々な品物を積載した多くのコンテナが到着し、輸入超過の環境下にあります。他方、第二の都市であるスラバヤではFMCG(日用消費財)の生産が盛んにおこなわれており、工業団地には保税工場も多数進出し輸出需要が旺盛な港湾です。
コンテナ船を運行する船会社の立場からみますと、常にジャカルタにコンテナの在庫が増えてしまい、スラバヤでは在庫が不足する、コンテナの需給バランスの管理がむずかしい地域となっています。現実的にはこの2拠点間を空コンテナを回送する必要があり、その一部の輸送を鉄道が担っていました。その空コンテナ輸送の有効活用の一つとして、KALOG社を中心とした関係会社と協業でサービスがスタートしました。
空コンテナの活用といっても、単に港湾から回送されたコンテナをそのまま使うことはできません。汚れや破損がみられ、貨物を積載するには不適当な状態のコンテナもあります。事前に選別・確認作業を行い、必要であれば洗浄作業も行います。サービス品質を保つためのコンテナ管理は欠かせない行程です。
SUNGAI LAGOA駅での搬入作業
起点となるジャカルタ側には、港湾に隣接したエリアに3つの貨物専用駅が存在しています。
①JAKARTA INTERNATIONAL CONTAINER TERMINAL (JICT)
②KAMPUNG BANDAN(JAKG)
③SUNGAI LAGOA(SAO)
今回は③SUNGAI LAGOAという貨物専用駅での作業風景と合わせてご紹介します。
SUNGAI LAGOAは、ジャカルタ港(タンジュンプリオク港)の2km圏内に位置し、各コンテナターミナルからも至近となります。また南側には旅客を扱うタンジュンプリオク駅も隣接しています。
構内には3本の側線が引き込まれており、コンテナヤードの他、積載を行う荷役ホーム、KALOG社をはじめとする関係会社の事務所があります。コンテナヤードには各船社から委託されたコンテナや、また近隣の倉庫や工場で荷物を積載されたコンテナが並びます。折しもジャヤインドネシアが所有するトラクターがコンテナを搬入してきました。
構内には港湾のコンテナヤードと同様に、トップリフターや専用トラクター、シャーシが配置され荷役を行います。1両の貨車に対して40フィートコンテナが1つ積載され、1列車17両編成が標準となっています。
列車の出発時刻に合わせて締切時間が設定されており、その時間に合わせてコンテナの搬入が行われます。発駅・着駅の両方でフリータイムの設定もあり、工場・倉庫との搬出入スケジュールの調整に用いることができるのも見逃せません。
環境負荷への軽減にも繋がる鉄道輸送
現在はジャカルタ~スラバヤ間が1日2本、ジャカルタ~セマラン間が1日1本の運行となっています。
この他、ジャカルタ都市圏の約50km東に位置し、多くの日系企業が入居する工業団地、カラワン(KARAWANG)発着スラバヤ行きの列車の設定もあります。列車により所要時間は変わりますが、ジャカルタ~スラバヤ間で14~17時間程度を要します。設定されている締切時間に合わせて搬入すれば翌日にはスラバヤに到着し、工場や倉庫への配送も可能となっています。
都市圏で見られる渋滞の常態化を避け、定時性の高い鉄道コンテナサービスの利用にシフトする動きも見られます。
様々な品物が積載される本サービスですが、ジャカルタ発スラバヤ行きでは主に化成品や自動車部品の需要が多く、逆にスラバヤ発ジャカルタ行きでは飲料やタバコといったインドネシアの国内需要を満たす品物の積載が多くみられます。
一度に大量の貨物を運び、地球環境にも優しい鉄道輸送。ジャヤインドネシアの鉄道コンテナサービスでもその利点となる大量性や計画性、また環境負荷軽減の見地からご相談をいただく件数が増えております。
将来的にはブロックトレインの運行も視野に検討を進めております。