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トランプ関税 Q&A

世界的に注目を集めるトランプ政権の関税政策の行方ですが、皆様から多く寄せられるご質問に答える形で、最新情報をお届けします。このQ&Aは、弊社アメリカ現地法人・NIT(Nissin International Transport)が、お客様からの問い合わせ受けることの多い内容をベースに作成いたしました。

ベトナムなど、日本とは直接関係のない国の事例も含まれますが、これはアメリカとの間のビジネスの活発さを背景とした実践的な情報です。今回は時系列での出来事のご案内は割愛し、皆様の疑問を直接解決するQ&A形式に特化してお届けいたします。

Q. 日本からの関税について
A. トランプ大統領は、4日(金)、12カ国に対して新たな国別関税率を通知する予定であることを明らかにしました。その中には日本も含まれ、7日(月)には日本からの輸入品に対し8月1日から25%の関税を課すと自身のSNSで表明しました。これは長年の貿易不均衡是正が目的で、日本からの反発をけん制しつつも、交渉次第では関税見直しも示唆しています。Sec.232.に基づく自動車や鉄鋼・アルミニウムに課徴されている関税は今回の関税とは別扱いとなり、上乗せされることはないと説明しています。他国への関税率は調整された一方、日本とマレーシアは引き上げとなりました。日本政府は対策本部を開催し、引き続きアメリカとの交渉を進める方針と報道されています。

     7日に公表された石破総理大臣宛の書簡(TRUTH Donald J. Trumpアカウントより引用)

Q. 国別相互関税に関しての現状
A. 7日付けで相互関税に関する 新たな書簡が国別に送付されました。関税率が通知された国、及び料率は以下の通りとなります。

日本:25%
韓国:25%
南アフリカ:30%
カザフスタン:25%
ラオス:40%
マレーシア:25%
ミャンマー:40%
チュニジア:25%
ボスニア・ヘルツェゴビナ:30%
インドネシア:32%
バングラデシュ:35%
セルビア:35%
カンボジア:36%
タイ:36%
(参考:ホワイトハウス発表の新関税率は、こちらからご覧いただけます)

Q. 国別相互関税のスタートに関して
A. 7/9から、8/1へ正式に延期となりました。

Q. 国別相互関税には、現行の10%もプラスされるのか?
A. 現在の10%が、8/1以降、国別の相互関税率に置き換わる形となります。

Q. 8/1までの間に関税率が変わる可能性はあるか?
A. 先週のベトナムのように自国の米国に対する関税率をフリーとすることで関税率の低減を実現した例も有、今後の交渉如何によって変更となる可能性も御座います。

Q.ベトナムと米国間の合意内容について
A. 当初46%まで引き上げられる予定だったベトナム産品への関税に関し、トランプ大統領は、
・ベトナム発の製品(恐らくはベトナム産品)に関して:20%
・ベトナム迂回品(恐らくはベトナム産品以外)に関して:40%
に税率を下方修正することで合意に達したと発表しました。

ベトナム迂回品の定義に関して多数のお問い合わせを頂いておりますが、執筆時の7月7日(月)現在ではまだホワイトハウスより公式発表が無く、詳細は不明となっております。
(参考:トランプ大統領のSNS上での発言は、こちらからご覧いただけます。)

Q. ベトナム以外の合意国はあるか?
A. 英国、カンボジアが合意に達したことが明らかになっています。また中国は既に暫定合意済です。

英国
自動車/自動車部品  :10万台分までは10%、それ以上は25%の関税率
航空機部品       :相互関税対象外
鉄鋼アルミ                 :25%が維持。但し、特別な輸入枠が設けられる方針
その他の英国産品     :10%
(参考:英国との相互関税合意に関するホワイトハウスの発表はこちらからご覧いただけます)

カンボジア
合意に達したことのみ発表。税率は不明。

Q. 中国と米国間の合意内容
A. 5/14申告分より、相互関税は10%へ引き下げられています。(90日間の暫定)但し、鉄鋼・アルミニウム、自動車・自動車部品にかかる分野別関税は引き下げの対象にはならず、対象品目はSec.232に応じた関税25%が発生します。
更に上記とは別に、中国産品に対しては既に発表済の25% (Section 301)、 製品によって25%以外の税率もあり(IEEPA:20% )、追加関税は継続している為、現時点での中国産品への追加関税のベースは10% + 25% + 20% = 55%となっています。
また相互関税10%は暫定合意のため、8/12以降、当初予定だった34%へ引き上げられる可能性があります。
(参考:中国との相互関税の暫定合意に関するホワイトハウスの発表は、こちらからご覧いただけます)

Q. トランプ関税は、連邦高裁により違憲と判断されたのでは無かったのか?
A. 連邦高裁は7/31に予定される審理までは容認する姿勢を出しております。

(更新版)追加関税に関して・現状のマトリクス表について
現状の追加関税政策に関してのマトリクス表の更新版はこちらからご覧いただけます。

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