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自動車・半導体産業を支え、九州物流の未来を拓く熊本ロジスティクスセンター(仮称)建設

7月4日、熊本県菊池郡大津町にて熊本ロジスティクスセンター(仮称)の起工式を執り行いました。この施設は、自動車産業や半導体産業の成長を支える重要な物流拠点として、日新の九州の物流ネットワークをさらに強化する一つとしてとらえられています。今回は、建設の背景やビジネス環境、そして新倉庫がもたらす未来について詳しくご紹介します。

熊本ロジスティクスセンター(仮称)建設の背景:日新の成長戦略と九州の物流需要拡大

二輪車メーカーの工場入口付近

熊本ロジスティクスセンター(仮称)の建設背景には、九州全域での物流需要の急速な拡大があります。特に、自動車産業においては、電気自動車(EV)関連技術の進化と市場拡大、さらにそれに伴う部品供給の多様化やサプライヤー拠点の再編といった変化が進行中です。この動きは、二輪車分野にも及んでおり、近年では電動二輪車やEV関連部品の生産・開発にも力を入れています。こうした状況に伴い、サプライチェーンの柔軟性や効率性がこれまで以上に求められるようになっています。

 

半導体メーカーの社屋。手前は第二工場建設予定地。

また近年、熊本は「シリコンアイランド九州」の中核として、半導体産業が急速に集積しています。その象徴的な存在として、世界的な半導体メーカーが隣接する菊陽町に進出。これをきっかけに周辺の市町へ関連企業の進出が相次ぎ、大津町なども含め「セミコンテクノパーク」と呼ばれる地域を形成しています。この結果、周辺のエリアでは精密機器や生産設備、化学品といった高付加価値貨物の輸送ニーズが急増しています。こうした動向を踏まえ、半導体・自動車の生産拠点から約6~8km程度といった至近の距離である大津町内に、「第7次中期経営計画」に基づき、熊本ロジスティクスセンターを戦略的な拠点として位置付け、地域の変化に対応する物流の基盤を強化することを決定しました。

建設予定地のビジネス環境:交通の要衝・大津町が秘めるポテンシャル

阿蘇くまもと空港ターミナル。熊本ロジスティクスセンター(仮称)から約8kmほどの距離。

新倉庫が建設される熊本県菊池郡大津町は、地理的に優れた条件を持つ交通の要衝です。九州自動車道の熊本インターチェンジや阿蘇くまもと空港に近接し、県内外への陸上輸送に高い利便性を誇ります。また前述の通り、空港にも至近距離に位置しており、航空貨物による迅速な国内外輸送が可能です。この立地は、自動車産業や半導体産業の物流ニーズに応える上で大きな強みとなります。

 

さらに、熊本県全体としては、2016年の熊本地震からの力強い復興を遂げ、産業基盤をさらに強化しています。自動車産業では、部品メーカーから組み立て工場、完成車輸送まで一貫したサプライチェーンが形成され、持続的な成長を支えています。一方で、半導体メーカーの進出により、隣接する菊陽町やその周辺地域に関連企業が集積し、大津町にも新たな産業の波が押し寄せています。このような環境の中、日新の新施設は、自動車・半導体産業双方の物流ニーズに対応した柔軟かつ効率的な物流ソリューションを提供することを目指しています。

大津町点描

熊本駅から豊肥本線で30分ほど、最寄の肥後大津駅に着く 北口には旧来の駅舎の横に高層マンションが建つ 南口は空港アクセスを担い整備されている 町内ではマンション・アパートの建設が目立つ

 

熊本ロジスティクスセンター(仮称)の概要とその特長

熊本ロジスティクスセンター(仮称)は、敷地面積約13,000㎡、延床面積11,463㎡の2階建て施設で、最新の物流設備を備えます。この倉庫では、海上・航空輸送、陸上輸送、特殊貨物輸送など、幅広い物流ニーズに対応可能な接点機能を有し、地域の物流効率化を実現する拠点として重要な役割を果たします。

トラックバースには幅10mの庇を設置する

また、近年の気候変動による荒天時の対策として、トラックバースには10mの大型庇を採用、全天候型の倉庫として、品物の安全を第一に考えた設計としました。また非常用電源設備も常設とし、BCP対策として万全の機能を誇っています。屋上には太陽光発電設備の導入が予定されており、環境負荷を軽減しながら持続可能な物流を提供するという企業の社会的責任(CSR)にも配慮しています。これは、SDGs(持続可能な開発目標)への意識が高まる現代において、必須と取り組みと考えております。

また急速に需要が高まるリチウムイオン電池の受け入れや保管機能も視野に入れ、リチウムイオン電池の物流ソリューションLiBerth(リバース)の準備を進めております(LiBerthの説明は、こちらをご参照ください)。具体的には受け入れ時の状態確認や放電作業をはじめ、消防法に適合した耐火性収納箱「LiBボックス」を活用した保管サービス「LiBウェアハウス」を企画しており(LiBウェアハウスの説明は、こちらをご参照ください)、必要な時に、必要な期間だけ、ボックス・月単位で保管スペースをご利用いただくことが可能です。

熊本ロジスティクスセンター(仮称)では、LiBウェアハウス構想を企画中

新倉庫がもたらす未来:地域経済への貢献と持続可能な物流の追求

熊本ロジスティクスセンター(仮称)は、物流効率を高めると同時に、地域経済への貢献が期待されています。この新施設の稼働により、地域に新たな雇用機会を創出するだけでなく、地域のサプライチェーン全体を強化することで、産業基盤のさらなる発展を後押しします。自動車関連産業の多岐にわたる物流ニーズへの対応拡充や、半導体関連では、精密機器や特殊化学品などの高付加価値貨物を迅速かつ安全に輸送できる体制を整え、関連産業の成長を支える役割を果たします。

半導体メーカー社屋の出入口付近

さらに、半導体メーカー・関連企業の集積が進む中、大津町およびその周辺地域が「次世代産業のハブ」として発展する可能性も高まっています。この新倉庫は、こうした動きに対応する柔軟な物流基盤を提供し、企業間の連携を強化することで、新たなビジネスチャンスの創出にも寄与します。

また、地域との連携を重視しており、グループ企業である九州日新と共に、大津町と立地協定を締結しています。この協定は、地域社会と企業が共に成長するための重要な枠組みであり、新倉庫の建設と運営を通じて、地域社会への貢献を一層深めていく姿勢を示しています。

熊本ロジスティクスセンター(仮称)の建設は、日新が掲げる中期経営計画における重要な成長投資であり、九州地区全体の物流ニーズに応えるための大きな一歩です。新倉庫は、既存のネットワークとノウハウを最大限に活用し、陸海空を組み合わせた最適な輸送モードの提案や複雑な国際物流手配など、包括的なロジスティクスサービスを提供する拠点となります。

造成の始まった建設地 左側写真地点の完成予想図

また、環境への配慮を重視した取り組みを推進することで、持続可能な物流サービスを実現し、地域社会や産業界と共に成長していくことを目指します。この熊本ロジスティクスセンターが、九州物流の未来を切り拓く拠点として大きな役割を果たすことを、どうぞご期待ください。

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