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使用済みリチウムイオン電池も安心・安全に輸送/保管              電池の2次利用やリサイクルに繋げる静脈物流ソリューション               「LiBerthリバース」

物流DX

2024.08.16

私たちの生活に欠かせないリチウムイオン電池は、年々活用の場が広がっています。特に電気自動車(EV)や産業用・家庭用蓄電池などは、環境面や経済面からますます活用の場が広がるとされています。

 

一方で、リチウムイオン電池は衝撃による内部損傷や過熱により発火のリスクが高まるため、安全な取扱いが求められます。特に使用済みリチウムイオン電池は、その電池がどのような変遷を辿ってきたか外見からは分からない場合もあり、最悪の場合、発火事故を引き起こします。

 

また、日本国内では慢性的に危険品倉庫が不足しており、今後ますます増加する使用済みリチウムイオン電池の受入れは、万全とは言い難い状況です。 リチウムイオン電池の特徴や状態に応じた安全かつ効率的な物流機能が必要と考え、当社はリチウムイオン電池の静脈物流ソリューション「LiBerthリバース」の研究・開発を進めています。

 

この記事はこんな方におすすめ

リチウムイオン電池の取扱いにおける以下のお悩みを解決します。
✔  危険物倉庫に受託してもらえない(安全性から敬遠される、またはスペース不足)
  少量危険物未満(指定数量1/5未満)扱いで分散保管を余儀なくされている
✔  使用済みリチウムイオン電池を安全に輸送や保管したい
  使用済みリチウムイオン電池のリユース、リサイクル事業を検討している

LiBerthとは…

リチウムイオン電池を意味する「LiB」と、船舶や飛行機の寝台や停泊所を意味する「Berth」を組み合わせた造語です。LiBerth(以下「リバース」)は、当社の物流リソースに機能性容器、安全テクノロジーと付加価値機能を掛け合わせ、安心・安全で持続可能な電池活用社会を支える静脈物流ソリューションです。

 

特徴①:機能性容器(LiB ボックス / LiB コンテナ)

リバースでは、発火・爆発に耐えうる耐火性能を有した2種類の専用容器をご提供します。

LiBボックスは、令和6年7月2日に通知された消防危 第303号(全部改正 消防危 第200号)適応しており、耐火性能試験の安全基準を持つ容器に収納されたリチウムイオン電池は、一定条件下で一般倉庫での保管が可能となります。

 

LiB ボックスは2種類を提供します。リチウムイオン電池のセルやモジュールなどパレットに乗せられた電池をそのまま格納できるAタイプ(写真左)と、車載用電池を格納できるBタイプ(写真中央)で、一般倉庫内での保管やトラック輸送での利用を想定しています。いずれもオプションで電源を不要とする自動消火機能を用意します。

LiB コンテナは20フィートと40フィートの2種類を提供します。断熱構造と放射冷却素材「SPACECOOL(スペースクール)」をコンテナ表面に貼り付けることで、内部温度を夏場でも35℃以下に保つことができます。状態の悪い使用済みリチウムイオン電池や、少量貨物の定温保管に適しており、倉庫外での利用を想定しています。こちらも、オプションで自動消火機能とエアコンによる空調機能を用意します。

サイズ・容量 LiB ボックス (外寸/内寸)
A type : L127.0 x W127.0 x H148.0 / L121.0 x W121.0 x H134.6cm / 113.0kg
B type : L172.0 x W226.0 x H75.0 / L165.0 x W220.0 x H59.8cm / 204.0kg
LiB コンテナ (外寸/内寸/間口/自重)
20F : L605.8 x W243.8 x H259.1 / L582.4 x W228.1 x H224.1 / W228.8 x H222.6cm / 3,200.0kg
40F : L1,219.2 x W243.8 x H289.6 / L1,196.7 x W229.2 x H254.6 / W228.8 x H255.6cm / 4,300.0kg
特記事項 一部、特殊安全装置の技術を特許出願予定

特徴②:安全テクノロジー

LiB専用容器にはオプションとして電源不要な自動消火機能を提供します。消火機能を製造、販売するパートナー企業の最新技術を活用し、消火が難しいリチウムイオン電池の発火を短時間で初期消火し、熱暴走による連続発火を抑えます。

LiB専用容器には温湿度・圧力・煙検知・衝撃などを感知できる各種センサーでセンシングし、容器内部の状態を可視化する遠隔監視システムの準備も進めております。

遠隔監視システムについては、LiBコンテナの所在や状態(温湿度や消火剤圧力ほか)、消火機能の交換時期、保管貨物の内容(荷姿・物量・電解液量・SOCほか)など、オンラインで確認することを可能にします。また、万が一の場合には警報を受信し、速やかに初動対応(消火・通報)にあたることができるため、リチウムイオン電池を安心・安全に保管することができます。

 

特徴③:物流ソリューション

当社の物流リソースを最大限活用し、LiB専用容器や安全テクノロジーと組み合わせ静脈物流サービスとして展開していきます。

例えば、既存の一般倉庫や定温倉庫の空きスペースを活用し、LiBボックスやコンテナと組み合わせ、リチウムイオン電池を少量からまとまった物量まで、需要に応じてフレキシブルに提供します。

また、使用済み車載用バッテリーの回収輸送では、LiBボックスを活用した安全で積載効率を高めた輸送サービスを提供します。LiBボックスはユーザーにレンタルで提供し、共通利用による低コストで安全な物流の仕組みの構築を検討しています。

今後の展開

今後リバースでは、安全、効率的な保管・輸送に留まらず、パートナー企業と連携し、リチウムイオン電池の再製品化に向けたソリューションの提供も検討していきます。

リチウムイオン電池専用拠点を設置し、電池の充電率(State of Charge)確認や充電率の高い電池の放電作業を行うと共に、良品と不良品の選別まで一連の作業を視野に入れています。

状態の良い電池については、次なる製品に生まれ変わるまで専用容器で保管し、他方は自動消火機能を備える空調付きのコンテナにて保管して常時監視し簡易解体までを請け負う想定をしております。

当社はリバースを通じて、持続可能な使用済みリチウムイオン電池活用社会をパートナー企業とともに推進してまいります。「LiBerthリバース」に関するお問い合わせは、こちらまでお願いいたします。

最後に、東京ビッグサイトで9月10日から13日の4日間にわたって開催される国際物流総合展では、安全テクノロジーを備えた機能性容器(LiB ボックス / LiB コンテナ)と遠隔監視システムの展示を行います。お時間ございましたらぜひ東京ビッグサイトの当社ブースまでお立ち寄りください。

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