ECに特化した鶴見ECセンター営業所の機能と取扱商材
鶴見ECセンター営業所の1階は、約5,140平方メートルの入出庫・作業エリアと保管エリアで構成され、事務所もこのフロアに設置されています。2階は主に保管エリアとして約5,152平方メートルが確保されています。

多くの商品が整然と並ぶ保管エリア
このセンターが専門とするのは、大手ECサイトの専用倉庫としての機能です。日新にとって初のEC対応倉庫であり、その稼働体制は元旦を除く364日、原則8時から18時までと、休むことなく、多くのニーズに応える体制を敷いています。また物量に応じて変動幅が大きいこともeコマースの持つ特性の一つで、それに対応した柔軟な体制を整えています。
鶴見ECセンター営業所は、JR安善駅から徒歩10分、バス停「安善町中央」から徒歩1分というアクセス抜群のロケーションにあります。トラックの搬出入の利便性はもちろんのこと、アルバイト作業員が通勤しやすい環境であることも、EC物流において極めて重要な条件の一つとして考慮されました。
取り扱う主な商材は、カートン入りの飲料や紙おむつが主流で、その他に洗剤などの取扱構成となっており、いずれも重くてかさばるカートン品が中心です。小さな商品は自動倉庫での取り扱いが可能ですが、個数が多く、かつ重量やサイズがある品物は、どうしても人の手によるきめ細やかな対応が不可欠となります。
高いパフォーマンスで依頼主の期待を超える

セール期間中は次々とラベル貼り、仕分けといった出荷作業が行われる
鶴見ECセンター営業所では、1日平均16台のトラックが搬入作業を行い、出荷量は1日3,000ケースから最大20,000ケース超えと、物量に大きな変動があることが特徴です。特にセール開催時は、倉庫のキャパシティを最大限に活用した対応が求められます。取材時も、まさにキャパシティ最大の物量を捌いている状況でした。
当初、依頼主は、日新が最大20,000ケースという大量の物量に本当に対応できるのか?不安を感じていました。そのため、稼働開始から約1ヶ月間は、依頼主のスタッフが事務所に常駐し、EC物流のノウハウを日新に注入するというサポートが行われました。

仕向け地別に仕分けされ、出荷を待つ商品
しかし、その後日新単独でのオペレーションが開始されると、現場は依頼主の予想をはるかに超えるパフォーマンスを発揮します。スピーディーかつ正確な作業で、最大20,000ケースの物量にも対応し、日新のEC物流における実力と対応力を証明しました。多い時にはトラックが7台同時に到着し、並行して荷役作業を行うといった、高い回転率と効率性を誇っています。
緻密に設計された作業フローと品質管理
鶴見ECセンター営業所の作業は、入庫、保管、ピッキング、送り状貼り付け、配送方面仕分け、そして配送業者への引き渡しという一連のプロセスで構成されています。

商品が到着する入庫エリア
午前中に行われる入庫作業は、その量がほぼ一定であるため、比較的安定したオペレーションが可能です。保管に関しては、飲料などの食品が多く、長期保管には不向きであることから、ごく短期的な保管に留まります。保管レイアウトは効率性を重視しており、発送頻度の高い「売れ筋商品」は1階の作業フロアに近い場所に配置し、それ以外の品物は2階に保管されます。この保管レイアウトは、物量の変動や商品の入れ替わりに合わせて柔軟に変更されることも珍しくありません。

1F⇔2Fの間の移動も、手際よく行われる
ピッキング作業は、日新産業のチームが担当しています。庫内では電動のリーチフォークリフトが行き交い、効率的な作業を支えます。原則として貨物はカートン単位でパレットに載せられた状態で入庫されますが、発送指示が出ると、1階の作業場に搬入され、個々のカートンにバラされます。
特に重要なのが、配送ラベルの貼り付け作業です。依頼主側のルールで、品物の天面に配送ラベルを貼り付けることが指定されているため、バラされたカートンに一つずつラベルを貼り付けていきます。この作業は主にアルバイトの作業員が担当しており、その日の物量に応じて人員数も柔軟に調整されます。取材日には28人のアルバイト作業員がこの作業に従事していました。

多くの人手を要するラベル貼付・仕分け作業
ラベルを貼り終えた品物は、次に仕向け地別に正確に仕分けられます。アルファベットで区別された区画にパレットを置き、そこにラベルが貼られた品物を置いていくことで、発送ミスを防止します。この工程では、品物のカートン上のバーコードナンバーとラベルに印字されたナンバーが一致しているか、厳重な確認が行われます。ここでもアルバイトの作業員が活躍しており、中には既にバイトリーダーとして現場をまとめる人材も育っています。彼らの手により、極めて効率的かつ正確で丁寧な作業が実現されています。さらに、庫内には一方通行の導線が設定されており、作業ミスが起きにくい設計思想が徹底されています。

安全かつ確実に、スピーディーな作業が求められる(出荷エリア)
日新の業務範囲は、品物を仕分けされた出荷エリアへ持ち込むまでであり、トラックへの積込は委託先の配送業者のドライバーや作業員が担当しています。
高度な情報管理と生産性への飽くなき追求

構内各所にカメラを配置、常時モニターを行う
個人情報を含む配送ラベルを取り扱うため、鶴見ECセンターでは情報管理に特に細心の注意を払っています。庫内には19台ものカメラが設置されており、各所の作業を常時監視しています。これは情報セキュリティの確保を目的としているだけでなく、庫内作業の効率をリアルタイムでチェックし、改善に活かすためにも活用されています。セキュリティ面では、倉庫への出入り口であるオーバースライダーにはセンサー機器が設置され、事務所入り口には入退室管理機器が導入されるなど、機械警備による万全の体制が敷かれています。
オペレーションは日新の社員2名と日新産業の社員14名に
加え、平均で12名程度のアルバイト作業員(ワーカー)によって支えられています。セール時など物量が増加する際には、最大30名程度のワーカーが投入されることもあります。依頼主からは、こうした人員配置に対するチェックも厳しく行われ、より少ない人数で多くの仕事をこなす、つまり生産性向上が常に求められています。日新では、この生産性の数値を定期的に提出し、チェックを受けながら、継続的な改善に取り組んでいます。
ワーカーのシフト調整は、毎月20日頃に確定する入出庫予定を見ながら手配されますが、物量の変動幅が大きく、これに合わせて最適な人員バランスを取ることが今後の課題点でもあります。また、依頼主からは1週間ごとに具体的なフィードバックがあり、これをオペレーション改善に活かすPDCAサイクルが確立されています。
信頼関係から生まれたEC物流の成功
このeコマースが始まったきっかけは、過去からの日新と依頼主との信頼関係にあります。当初は、ミネラルウォーターを輸入していた依頼主が大量の品物を抱えてしまった際、日新がその一時保管を請け負ったことから関係が始まりました。その後も信頼関係は続き、日新初のEC専用倉庫として鶴見ECセンターを任されることになったのです。

多種多様な商品がフロアを埋める
開業当初は最大12,000ケース程度の扱いと想定されていたにもかかわらず、わずか半年後には20,000ケースというキャパシティを扱うまでに成長を遂げたのは、依頼主も予想外の出来事でした。これは、現場の日新社員と日新産業の作業員が一体となり、試行錯誤を重ねながら、スピーディーかつ正確なオペレーションを追求し続けた結果に他なりません。この卓越したパフォーマンスは、依頼主の中でも日新の評価を大きく高めることに繋がりました。
eコマースにおいて、消費者の手元に商品が「到着するまでの時間」は極めて重要です。他EC業者よりも到着が遅れることは、顧客満足度の低下に直結し、ECサイトの評判にも影響を与えます。そのため、鶴見ECセンター営業所では、日々迅速な出荷に努めています。もちろん、セール開催時には膨大な注文が入るため、多少のリードタイムの余裕をお願いするケースもありますが、基本的には最短での配送を目標としています。

細かな作業は人の手が欠かせない
また、リフトマンだけでは対応しきれない細かな作業を、人の手で丁寧に行っている点も、このセンターの強みです。個人宛の配送がほとんどであるため、その情報管理は非常にシビアで、常に細心の注意が払われています。
鶴見ECセンターは、日新が新たなEC物流の分野に挑戦し、信頼関係と現場の努力によって大きな成功を収めた象徴的な拠点と言えるでしょう。
株式会社日新 鶴見ECセンター営業所
神奈川県横浜市鶴見区安善町2丁目5-4