物流の最新情報をお届け

2
北関東ロジスティクスセンターにてリチウムイオン電池の循環物流ソリューション「LiBerth」見学会を開催しました!

イベント

2025.11.19

リチウムイオン電池の保管・運搬に課題をお持ちのお客様に向けて、実際の容器や施設をご覧いただける見学会を栃木県芳賀町にて日新主催で開催いたしました。今回は、当日の見学会の様子をご紹介します。
今や物流における最重要課題の一つとなったリチウムイオン電池(LiB)の安全な保管・輸送。この課題に、日新は「既に運用を開始している実績」でお応えします。

【LiBerthの基盤】最新鋭 北関東ロジスティクスセンターの「安心」機能

LiBウェアハウスの様子

2024年10月に開業した北関東ロジスティクスセンター(KLC)は、EV化を見据えた北関東エリアの自動車物流の一大拠点です。今回のLiBerth公開イベントも、開設以来LiBウェアハウスとして活用されているこの最新鋭の現場で開催されました。まず目を引くのは、倉庫両側に奥行15mの庇と高床式プラットフォームを完備し、天候に左右されないスムーズな荷役を実現している点です。さらに、柱のない広大な倉庫(1区画約1,500m²)を活かし、保税エリアや梱包エリアを効率的に配置。保管・入出庫の流れを最大限に効率化するレイアウトが可能な設計となっています。

最も重要なのは、リチウムイオンバッテリーの保管に特化した環境です。屋根や天井の遮熱構造に加え、一般倉庫内にも空調装置を完備したことで、40℃近い酷暑となる真夏でも、室内気温は28℃程度を維持します。また、大型エアコン3台を設置した約800m²の定温倉庫区画では、温度15~25℃/湿度50%を維持することが可能です。これにより、単なる保管に留まらず、診断や解体といった作業を視野に入れた専用エリアも確保しています。

➡北関東ロジスティクスセンターの紹介記事はこちらから

【LiBerthとは?】安全な「静脈物流」を支える循環ソリューション

LiBerth(リバース)は、電気自動車(EV)や家電製品などに含まれ、今後需要が急増する使用済みリチウムイオン電池の循環物流における安全課題を解決するために、日新が開発したソリューションです。そのコンセプトは、リチウムイオン電池の「保管・輸送時の安全性確保」と「リサイクル・再利用への貢献」を両立することにあります。

従来、リチウムイオン電池の保管は危険品倉庫に限定され、そのキャパシティ、コスト、運用が大きな問題となっていました。この課題を解決すべく、LiBerthでは、消防法に適合した耐火性の専用容器(LiBコンテナ・ボックス)と、LiBボックスを活用し当社倉庫でリチウムイオン電池をお預かりする物流サービス(LiBウェアハウス)の提供と運用をセットで実施。お客様に安心・安全でシームレスな循環物流を提供し、お客様の抱える課題を解決いたします。

LiBerthのサービスサイトは、こちらからご覧いただけます

LiB保管の「新常識」を解説

座学の様子

見学会はまず、専門担当者による座学セッションからスタートしました。
そもそも「リチウムイオン電池の保管はなぜ危険品倉庫が必要なのか?」という基本的な問いから始まり、指定数量(1,000リットル)以上は危険物倉庫での保管が義務付けられているという法規制の壁を解説。その上で、リチウムイオン電池の物流の課題を根本から解決する「新常識」として、改正消防法303号に準拠した耐火性収納箱「LiBボックス」を使用すれば、一定条件下で一般倉庫でも指定数量の合算制限なく保管が可能になるという、LiBerthの価値を明確にお伝えしました。

過去に実施した燃焼・消火実験の動画を交えた説明では、単に燃焼に耐えるだけでなく、LiBボックスが対応できる電池セルの容量を数値的に導き出した厳しい条件下の実験の内容も公開。爆発時の火炎の場面では多くの歓声が上がり、具体的な数値的根拠を示すことや、より耐久性の高い「LiBコンテナ」の必要性を解説。安全性への揺るぎない実験結果とその理由を示しました。

現場体験 — 消防法クリアの専用容器「LiBボックス」を体感

座学で知識を得た後、いよいよ安全性と運用実績を五感で体感する現場見学に移りました。

LiBボックスは、一般倉庫での保管を可能にするリチウムイオン電池の保管・輸送に特化した耐火性収納箱です。
イベントでは、搭載するサイズに応じたAタイプ・Bタイプの現物が展示され、内部のずれ防止の仕組みや、万が一の爆発時に隣接するボックスへ影響を及ぼさないための構造設計の工夫が解説されました。

さらに、電源不要の自動初期消火機能についても紹介。実物を前に、シンプルながらも確実に消火できる機能の解説を行い、お客様の注目を集めました。

また、実運用で重要となる組立工程の実演も行われました。2人のスタッフが僅か数分ほどで容易に組み立てられる効率性の高さが示され、輸送時や使用しない際には、折り畳んで省スペースで保管できる点に大きな関心が集まりました。
コンセプトや法規制のみならず、実際に使用する立場での視点でのプレゼンは、既に多くのLiBボックスを運用している日新ならではの解説となりました。さらに、熱電素子を用いた通知システムのデモンストレーションも実施され、リアルタイムでの異常検知への備えもご確認いただきました。

LiBコンテナの実力 — より大きな容量を持つLiBの爆発・燃焼への備え

続いて場所を屋外へ移し、合計4基が設置されているLiBコンテナの見学が行われました。
LiBコンテナは、一見すると20ft ISOコンテナのような外観ですが、その内部構造はリチウムイオン電池の保管に特化しており、LiBボックスと同様に、耐火性を極限まで高めた一般のコンテナとは全く異なる独自の機能と構造を持っています。
コンテナ内部の壁や天井は全面をスチールで覆われ、最高レベルの防耐火性を実現しています。さらに、万一LiBから電解液が漏洩した際にも外部への流出を防ぐため、床面にはグレーチング構造を採用しています。
これらの構造により、LiBコンテナは消防法の耐火試験基準をクリアした防耐火構造を備えています。この強靭な構造は、大型のリチウムイオン電池や、輸送中の不測の事態にも対応できる最終的な安全バリアとも言える重要な役割を担います。

また、実運用の利便性にも徹底的にこだわりました。通常のコンテナと異なり、妻面だけでなく、片側の側面が全て開放できることが大きな特徴の一つです。これにより、倉庫内で使用されるフォークリフトでの荷役が、どの位置に対しても容易に行えるようになっています。この運用の効率性を高めるために、効率的な収納を実現する専用ラックも合わせてご提案しています。

実際に中に入って隅々まで観察されたお客様からは、「写真で見るよりも大きい」「内部仕様が良く分かった」といった、驚きと納得の声が上がりました。特に、扉や壁面の厚さには驚きの声が上がり、「耐火構造が隅々まで考慮されている」といった、LiBerthの安全性への真摯な取り組みに対する高い関心をお寄せいただきました。

フルサイドオープン仕様 内部の紹介 LiBボックス、ラックによる収納例

また、既に運用が始まっているLiBerthならではの具体的な成果も感じていただけたようです。「コンテナを初めて見たが、内部仕様が良く分かった」「保管のイメージが具体的につかめた」「サイズ感を確認し、導入検討の必要性を再認識した」など、運用への具体的なイメージが持てたというご意見が目立ちました。さらに、「自分の課題に照らし合わせて、よりLiBerthをご理解いただけた」「導入のヒントを見つける助けになった」という声は、LiBerthが抱える課題を解決できるソリューションであることを証明しています。

「安全はコスト以上に価値がある」という参加者からの言葉は、今回のイベントの最も重要な成果です。実物をご覧いただき、実際の大きさや構造を体感し、専門家との意見交換を行うことで、お客様が安心してLiBerthを導入いただける強力な後押しとなったことを確信しています。

【運用実績が示す信頼性】リチウムイオン電池物流の課題解決へ

今回のレポートを通じて、LiBerthが単なるコンセプトではなく、既に現場で「安全性」と「運用実績」を両立している、信頼できるソリューションであることをご理解いただけたかと思います。リチウムイオン電池の安全な保管・輸送、そしてコストとキャパシティの課題解決は、待ったなしの状況です。

是非、貴社のリチウムイオン電池物流の課題を、実績に裏打ちされたLiBerthにご相談ください。

RELATED ARTICLES関連記事

  • 自動車物流の新拠点 北関東ロジスティクスセンター 開業!
  • 物流DX

    2024.08.16

    使用済みリチウムイオン電池も安心・安全に輸送/保管              電池の2次利用やリサイクルに繋げる静脈物流ソリューション               「LiBerthリバース」
  • 使用済みリチウムイオン電池も安心・安全に保管
    日新の倉庫ネットワークを活用した「LiBウェアハウス」
  • リチウムイオン電池の海上輸送時の注意点