物流の最新情報をお届け

29
実は意外と身近!? 危険品・危険物

お役立ち

2023.11.14

インターネットでスマートフォンやタブレットPCを購入した際などに、今まであまり馴染みのなかったラベルが外装に貼ってあるのを見たことはないでしょうか。
あの外装に貼ってあるラベルは、精密機器の輸送上の注意を促すケアマークではなく、箱の中に危険品が含まれていることを表すマークなんです。

国際輸送においては、日常でよく使用しているものや目にしているものも「危険品」という扱いになる!そんなテーマでご紹介いたします。

危険物とは

危険品・危険物 どちらが正解?

冒頭でも明記している「危険物」。
取扱い業者さんやメーカーさんによって「危険品」であったり「危険物」であったりといい方は様々です。
どちらを書くのが正しいのか?と思われる方も多いことと思います。
実は、どちらも正解!どちらも正しいというのが答えになるのですが、定められた法令によって書き方や言い方に違いがございます。

名称 法令 法令の目的 危険品・危険物
危険品 倉庫業法 倉庫業の適正な運営を確保
倉庫の利用者を保護する目的
高圧ガス保安法の高圧ガスと消防法に定められた危険物
危険物 消防法 火災を予防し国民の生命・身体・財産を保護。
火災・地震による被害の軽減。
性質、性状で定められている
危険物 危険物船舶運送及び貯蔵規則 船舶により危険物の運送及び貯蔵を行う際の安全確保 品名で定められているものと、性状で定められているものがある

なお、倉庫業法施行規則では第3条-10にて(危険品倉庫)という記載があるものの、保管する品物については、消防法第2条-7に準拠しているため、このサイトでは以降「危険物」として記載して参ります。

 

身近な危険物

それでは、身近な危険物はどんなものがあるのでしょうか。

以下の身近な具体例から、引火した際などに危険が広がりそうなものが多い印象を受けるのではないでしょうか。その他身近なものですと、クレンジングオイルや除光液、マニキュアなども危険物扱いになります。

火薬類 花火
クラッカー
 
高圧ガス ライター用補充ガス
カセットコンロ用ガス
スプレー缶
ダイビング用ボンベ
引火性液体 オイルライター用燃料
塗料
可燃性物質 マッチ
酸化性物質 漂白剤
毒物 殺虫剤
農薬
腐食性物質 液体バッテリー
水銀
その他の有害物 エンジン
リチウムイオンバッテリー

※あくまで身近なものを例にあげておりますが、上記以外にも危険品に該当するお品物は多々ございますので、輸出入の際はご注意いただきますようお願いいたします。

 

標札(危険物ラベル)の種類

危険物の輸送に欠かすことのできない標札(=危険物ラベル)についてここではご紹介いたします。

危険物は以下の9分類に分けられており、この貨物がどの危険品に該当するものかを区別するラベルがそれぞれ定められています。

■クラス区分​​

分類区分 名称 主なラベル
クラス1 火薬類(Explosives)
クラス2 高圧ガス(Gases)
クラス3 引火性液体類(Flammable liquids)
クラス4 可燃性物質類(Flammable solids; substance liable to spontaneous combustion; substances which, on contact with water, emit flammable gases)
クラス5 酸化性物質類
(Oxidizing substances and organic peroxides)
クラス6 毒物類 (Toxic & infectious substances)
クラス7 放射性物質類 (Radioactive material)
クラス8 腐食性物質 (Corrosives substances)
クラス9 その他の有害性物質 (Miscellaneous dangerous goods substances and articles, including environmental hazardous substances)

※こちらでご紹介の主なラベルは航空貨物のラベルをサンプルとして使用しております。
海上貨物のラベル**とは一部デザインが異なりますので、参考例としてお考え下さい。

海上貨物危険物ラベル** クラス4

 

 

 

 

 

危険品倉庫とは

危険品のなかには、消防法に定める「危険物」が含まれており、これらは火災や爆発などを引き起こす物質として、指定数量以上の危険物を管理、保管する際は消防法第10条*に定められた貯蔵所でのみ保管が許可されています。

(*消防法  第3章(危険物)第10条より抜粋)
指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。

危険物倉庫は消防法上の「屋内貯蔵所」に該当します。屋内貯蔵所で指定数量以上の危険物を貯蔵し、取扱う場合は、危険物取扱資格(危険物取扱者免状)を有する者が作業、監督を行う必要があります。

なお、屋内貯蔵所で貯蔵する危険物の指定数量の倍数が30を超える場合には、危険物取扱者の中から危険物の取扱い実務経験が6カ月以上ある「危険物保安監督者」を選任し、保安の監督をさせる必要があります。

その他、屋内貯蔵所は住宅、学校、病院等との離隔距離(保安距離)や、周囲の空地(保有空地)、建築面積の制限など、安全面等から様々な制約がございますが、日新では2023年秋に開業したの神奈川埠頭倉庫営業所や、シンガポール経由危険品混載サービスの関東地区の貨物搬入先として活躍する「鶴見倉庫(日新グループ)」を有しております。

日新グループ会社 鶴見倉庫

RELATED ARTICLES関連記事