壁も天井もないフラットラックコンテナ
通常のドライコンテナはいわゆる「鉄の箱」であり、積載できる品物のサイズはドア口の寸法に厳しく制限されます。また、バンニング作業もコンテナ内に入る小型フォークリフトや、爪の長さが届く範囲の荷役に限定されてしまいます。 こうした物理的な制約をクリアするのがフラットラックコンテナです。その名の通り、側壁も天井もない「平らな板状」の構造をしており、両端にエンドウォール(端面壁)を備えるのみ。この開放的な形状こそが、規格外の貨物を安全に運ぶための最大の武器となります。なにも積載していない状態の外寸は、通常の40フィートコンテナと共通です。そのため、既存の40フィート用シャーシや荷役機材を用いた輸送・作業スキームをそのまま活用できるのも大きな特徴です。壁面や天井に遮られないことで、大型重機や特殊クレーンを用いたダイナミックな荷役も、制約を受けることなくスムーズに行えます。

フラットラックコンテナは重量物の積載を前提としているため、ドライコンテナと比較して床面が非常に強化された堅牢な構造となっています。その床板の厚さは約600mmにも及び、この強靭なベースが巨大な貨物の自重をしっかりと支えます。(※コンテナの製造メーカーにより、内寸や重量スペックは多少前後します)
| 長さ | 幅 | 高さ | 総重量 | 自重 | 最大積載重量 | |
| 外寸 | 12,208㎜ | 2,438㎜ | 2,591㎜ | 52,500㎏ | 5,130㎏ | 47,300㎏ |
| 内寸 | 12,108㎜ | 2,230㎜ | 1,950㎜ | – | – | – |
ここで注意が必要なのは、スペック上の「最大積載重量」を鵜呑みにはできないという点です。数値上は余裕があっても、実際には経由する港湾の荷役機械の吊り上げ能力や、公道を走行する際の道路交通法(軸重制限など)による制約を大きく受けます。積載プランを立てる際は、単なる箱のスペックだけでなく、輸送ルート全体のインフラ性能を見極めることが不可欠です。
フラットコンテナの各部を見てみましょう


床面には厚みのある木製の平角材が隙間なく敷き詰められています。重量品を固定する釘打ち用のラッシング材(チョック)などは、この強固な床面に直接打ち付けて固定することが可能です。また、側面には支柱(ポスト)を立てるための専用穴やポケットが等間隔に配置されています。実際に支柱を立てて運用するケースは限られますが、ラッシングベルトを掛ける「固縛ポイント」として極めて重要な役割を果たします。過酷な海上輸送に耐えうる「ガッチリとした固定」を実現するために、これら一つひとつの構造が欠かせない要素となっているのです。
豆知識❶

車両のフラットコンテナ積載例
通常のドライコンテナと異なり、フラットラック等の特殊コンテナは在庫数が非常に限定的です。船社や寄港地、また輸送時期によって確保のしやすさが大きく変動するため、貨物のサイズが決まった段階での「早期のお問い合わせ」がプロジェクト成功の必須条件となります。
豆知識❷

フラットラックコンテナの両端にある端面壁(エンドウォール)は、内側に折りたためる構造になっています。これはコンテナヤード内での省スペース保管に役立つだけでなく、空コンテナを返却・回送する際に、複数枚を1つのコンテナ分として重ねて輸送することを可能にします。特殊コンテナ特有の「回送コスト」を抑えるための、合理的で機能的な設計といえます。折り畳み作業の様子をご紹介した記事・動画は、こちらからご覧いただけます。
ラッシング終了後のコンテナ
フラットラックコンテナへの積載作業
特殊コンテナへの積載(バンニング)光景になります。船会社のブッキング時に品物の詳細や幅方向のはみ出し(OW/OVER WIDTH)、高さ方向のはみ出し(OH/OVER HEIGHT)を申告します。その際に細かな規定の確認や固縛方法や使用材料について指示をうけることがあります。コンテナ両端の壁は折りたたむことが出来る構造になっており、コンテナヤード内で留置する際等に用いられています。その内容は各運行船社により異なりますので、弊社の現場では都度関係各所へ確認の上、規定に基づいた形で積載作業を進めます。
特に重量品の積載では、その重心位置に注意を払う必要があります。事前に経験豊富なスタッフが作成したバンニングプランに従い、メジャーを当てながら、ミリ単位での調整を行います。コンテナ周辺の各所にスタッフが張り付き、フォークリフトのオペレーターと息のあった積載作業が行われています。






