Dauphin(ドーファン)社の生産体制
今回お話を伺ったのは、千葉市内に本社を構えるDauphin Ltd.様です。
趣味の王様とも呼ばれる鉄道模型の輸入・販売を20年近く手掛けられており、世界の多くの模型・玩具メーカーの生産拠点である中国・東莞エリアの工場でオリジナル製品を生産、定期的に輸入されております。
――どのような形で中国での生産が行われていますか?
設計は日本側での取材や準備をした資料を基にCADを用いて行います。中国側の設計担当と何度も打ち合わせを行いながら、最終的な設計を確定させ生産に移行します。
その後、金型制作や必要となる部材の手配や塗装や印刷を経て組立を行い、製品となります。企画から本生産、最終組立までは2年以上の時間を要することも珍しくありません。現在はこうした生産工程を主に中国で行っております。
――生産を中国で行うことに決めた理由を教えてください
Dauphin社:
鉄道模型の生産には様々な素材や技術が必要です。プラモデルと異なり造形するだけではなく、電源を用いて走らせる、ライトが光るといった動きや機能も必要となります。主な素材はプラスチックですが、部材の目的や強度によってABSやPOMの使い分けや、ダイキャスト・真鍮といった金属も必要です。また、そうした素材を加工するための精密金型の製作や射出成型の生産設備、金属加工設備、モーターやプリント基板といった電子部品類も必要となります。
単に組立工場があるだけでは成り立たず、周辺地域に関連する技術を持った加工工場があって初めて生産可能となります。基本的な工業力が総合的に備わっていないと難しいですね。世界中を見渡してもコスト面だけでなく、複合的な生産環境が整うエリアは少ないため、日本のみならず欧米の模型や玩具メーカーの多くが中国・東莞エリアを起用している要因です。
大規模ロックダウンで工場が停止。 コロナが与えた影響
――コロナが事業に与えた影響も大きかったのではないですか
Dauphin社:
弊社に限らず、模型業界では巣ごもり需要から販売が好調となり、想定以上の注文をいただきました。また過去に発売した製品の注文が再び入るなど需要は安定しており、直近の円安は大変苦しいのですが、その影響は緩和されました。
ところが生産工場のある中国では、ゼロコロナ政策による大規模なロックダウンが行われ、同社の工場も生産ストップを余儀なくされる状況に―――
Dauphin社:
事態が落ち着くまで待つ以外に手立てがないといった状態が続きました。
同時に物流においても、海上輸送が混乱するといった状況の中で、リスクを最小限に抑えるべく現地工場側の出荷担当者と香港日新の間で細やかな連携がありました。製品が完成するタイミングに合わせて各種スケジュールをアレンジいただけたおかげで、心配だった海上輸送のスペース確保についても問題が発生しませんでした。その結果、通常と変わらない日数での輸送となり、無事新製品として送り届けることができました。
現地側でもしっかりとしたサポート体制
――日新起用のきっかけなどあればお聞かせください
Dauphin社:
当初は現地の工場側が指定する物流業者を起用したこともあったのですが、日本の物流業者とのコミュニケーションがうまくいかず、通関に手間取ったり配送が大幅に遅延したこともありました。そこで中国に強い日新さんに決めさせていただきました。それからは東京港が最寄り港にも関わらず、他所を経由する便にのせられたり不明瞭な費用が請求されるなんてことはありません。
さらに現在では工場の出荷担当者と香港日新の間のコミュニケーションが上手く行っており、こちらに連絡がくる前に、日新の担当者から「○日に到着する品物があるようですが…」と電話をいただくこともあります。そこから慌てて書類や受け入れの準備をすることもあり(笑)、 輸入といえども日本側からコントロールやモニターすることが可能であることを(日新起用で)知りましたね。混載サービスでもFCLでも海上輸送スケジュールの最新情報等もタイムリーに連絡をいただけることで受け入れ準備を万全にできます。
一貫輸送だからこその安心感
Dauphin社:
過去には、カートンが潰れてダメージが頻発したこともあったのですが、カートンを2重にしたり、パレタイズを行う等の梱包強化策のアドバイスをいただき、そのようなトラブルが目に見えて減りました。コストは掛かりますが、商品へのダメージを回避することが大切ですので、今では必須条件として、現地側の物流担当者に毎回念を押しています。
日本に到着した後も通関や配送などでサポートいただくことが多くあります。
少しマニアックな話になるのですが、鉄道模型はさまざまなパーツからできているため、パーツ自体の用途というか、どの部分にあたるものかというのを税関申告時に聞かれることがあります。日新さんは長年やっていただいていることや、よく勉強していただいていることで、製品への理解度が高く申告の際もフォローいただいたりしています。
また、配送についても現在使用している倉庫前の駐車場が手狭なため、どうしてもトラックに制約がでてしまうのですが、そのような事情も配慮いただき、小型車かつ分割配送についてもスムーズに手配可能な車を手配いただいています。専任で対応してくださる担当者さんがこちらの事情をよく理解されているというのが大きく、その結果としてこちらの望む物流環境が構築できていると思います。
現地の環境変化も考え、新たな展開も
――今後の事業展開について聞かせてください
Dauphin社:
中国・東莞の環境の変化もあり、他国での生産も視野に入ってます。紆余曲折あると思いますが、日新さんの現地法人がある国ですので、物流については問題ありませんね(笑)
また、今までは日本国内への輸入がメインでしたが、米国への輸出といったことも考えています。以前日本で活躍していた米国製の車両を模型化したことがあり、その製品を米国市場で販売できないか?ということで、準備を進めています。
こうした趣味のマーケットは日本国内では縮小傾向にあります。米国内の環境も似たような傾向にありますが、それでも日本と比較すれば市場規模が大きく、新たな販路拡大に繋がればと考えている次第です。
日新では自動車・化学品・食品といった主力事業の他、様々な品物を日本はもちろん、世界各国へ繋ぐお手伝いをいたしております。
今回ご紹介した趣味の品物についても取り扱う機会も多く、自社の持つネットワークやサービスを活かしてお客様の事情に合わせた多様なサービスを構築、スムーズな輸出入のお手伝いをしております。DOOR TO DOORの一貫輸送サービスも得意とするところで、経験豊富なスタッフが専任でサポートいたしますので、ぜひ当社の輸入サービスをご利用ください。