国産フルーツの輸出量と主な向け先
農林水産省の公表している「2022年農林水産物輸出入概況」によりますと、日本のフルーツの輸出量は年々増加傾向にあり、香港や台湾を中心に、最近ではタイ、ベトナム、シンガポールといった東南アジア各国で人気が高まっております。
中でも他のフルーツの輸出量よりも頭一つ抜けているりんごは、赤を愛でたい色と尊ぶ台湾に多く出荷され、春節など贈り物や神仏に供える果物として、古くから親しまれています。台湾では、バナナやパパイヤ、マンゴーといった熱帯フルーツの生産は盛に行われているものの、りんごは気候的に栽培が難しいため、最大の輸入果物となっているそうです。
■2022年累計輸出金額上位3カ国
桃の歴史と種類
毎年、6月下旬ころより旬を迎える「もも」は、生食用として全国で100以上の品種が栽培され、8月上旬~下旬にかけて最盛期を迎え、年間で11万6,900トンの収穫量があります。(2022年の農林水産統計より)
都道府県別の収穫量割合では、山梨県が31%、福島県が24%、長野県が10%、山形県が8%、和歌山県が7%となっており、この5県で全国の8割を占めています。
ももの歴史は古く、中国より伝わったとされており、日本最古の桃核(ももの種子(桃仁)を保護する内果皮)は、
長崎県伊木力遺跡の縄文時代前期(約6,000年前)より発見され、弥生時代以降になると、多くの遺跡から出土しています。
明治頃より、ももの栽培が本格化。
今回の特集である「白桃」のルーツと呼ばれる「白水桃」が発見されたのもこの頃といわれております。
――1899年(明治32年)には桃作りに情熱を注いでいた大久保重五郎氏が上海桃の実生から優秀な新品種「白水桃(白桃)」を発見し、それが岡山特産の白桃のルーツとなったそうです。
(出典:岡山市HP 大久保重五郎爺顕彰碑)
ももは、古事記事記や日本書紀にも記載があり、中国では、ももを食べた仙人が不老不死となった説話があることから「仙果」とも呼ばれ、花や葉、枝にも邪気をはらう効果があると考えられ親しまれています。
翌日には台湾の市場に到着! 迅速な航空輸出
日新では、ハウス栽培された品物を皮切りに6月中旬から9月上旬の露地栽培の品物まで毎年多くの輸出作業を請け負っております。
フルーツの航空輸送においてはなんといっても「鮮度維持」が欠かせず、また「植物の病気や害虫の忌避」や「キズ防止」についても強く求められます。
白桃の輸送は鮮度が命となりますので、スピード勝負の航空輸送においても、一層の迅速性が求められ、近畿・甲信越地方で収穫されたももは市場搬入同日に台湾に到着するように輸送されております。
荷主より仲買人を通じて、各産地にオーダーした桃は翌日早朝までに市場に到着します。
仕入後、午前9時までに荷主による検品作業等が行われ、その後速やかに関西国際空港へ輸送されます。
桃は非常にデリケートな品物なので少しの振動でも傷が発生してしまいます。そのため、1点ずつ緩衝材を用いて保護された後、積みつけが行われます。
午前10時、関空にて植物防疫をパスした後、品物は当社倉庫へ搬入され、午前11時、天板やバンドなど用いて航空輸送に耐えうる梱包を行った後、輸出申告が行われます。
午前11時半には、輸出許可となった商品を航空会社上屋へ搬入。品物は冷蔵保管が必要となるため、航空会社にブッキングを行う際は、冷蔵保管の依頼をし、商品外装には”Keep Cool”の表示を施します。その後14時のフライトに搭載され、現地時間の16時に台湾桃園空港に到着します。
台湾到着後は荷受人手配により速やかに検疫、引取りがなされ、自社販売分と台湾国内販売網分に選別の上、出荷されます。
植物防疫とは
植物の輸出入に伴い、植物に有害な病害虫が植物に付着して侵入・まん延することを防止するため、輸出入の時の検査や消毒・処分などの必要な措置を執ることをいいます。
農林水産省植物防疫所は、横浜植物防疫事務所をはじめ、名古屋・神戸・門司・那覇の全国5か所に置かれ、国内の植物に被害をもたらす海外からの病害虫の侵入を未然に防ぐため、全国の港湾や空港で輸入検疫を行っています。
また、諸外国の要求に応じた輸出検疫、重要病害虫の国内での蔓延を防ぐための国内検疫などの業務を行っています。
今回の事例のように、台湾向けの桃の輸出検査では、「植物防疫官による病害虫の付着がないことを確認する輸出検査」が求められるため、品物にエアーを噴射し害虫を取り去ります。エアー噴射は収穫後の生産地で実施されるだけでなく、万全を期すために、市場到着後に荷主側でも行っています。
中秋節や国慶節、端午節等の祝いごとのタイミングは商品需要も旺盛となることから、出荷が集中しますが、航空会社との緊密に連絡を取り確実に搭載スペースを確保し、お客様のビジネスを一貫してサポートしております。
フルーツのみならず鮮度が必須となる青果物、鮮魚等はもちろん、食品全般の輸出入に関するお問合せは、経験・実績豊富な日新へご相談ください。