背景と経緯
2026年3月:「強制労働で生産された商品の輸入禁止措置を導入・実効的に執行していない」ことを理由に、60の経済圏を対象として調査を開始。
2026年6月2日:全60経済圏について「対処可能(actionable)」と認定。
2026年6月5日:関税案を公表し、パブリックコメント(1,600件超)および公聴会(7月7〜9日、証人100人超)を実施。
2026年7月24日:上記プロセスで寄せられた意見を踏まえ、大統領の指示に基づき最終関税率を決定。
関税率の枠組み
対象国・地域は、以下の3つのグループに分類されます。
①10%の関税
対象:強制労働輸入禁止を導入済み、ARR(相互貿易協定)で導入を約束、または部分的な禁止措置を導入済みの国
該当国・地域:アルゼンチン、バングラデシュ、カンボジア、カナダ、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、インド、インドネシア、ヨルダン、マレーシア、メキシコ、パキスタン、スリランカ、英国、トリニダード・トバゴ
②10%または12.5%(MFN税率控除後)
EU・台湾:10%
日本・韓国・スイス:12.5%
※MFN税率がその水準未満の場合、MFN税率と301条関税の合計がその水準になるよう調整。すでにMFN税率がその水準以上の場合、301条関税はゼロ。
③その他すべての国:12.5%の関税
該当国・地域:中国、EU以外の欧州各国、中東諸国、その他多数
発効日と経過措置
発効日時:2026年7月24日 午前0時1分(米東部時間)以降に、消費のため輸入される商品に適用。
適用除外(経過措置):発効前に最終輸送手段に積み込み済みで、7月28日 午前0時1分より前に輸入される貨物は適用除外。
除外品目および繊維割当(TRQ)
関税除外の基準:原材料で国内供給不足を招くもの、経済全体に混乱を与えるもの、米国内で十分生産できないもの等は関税除外となります。
追加除外(471品目):動物性飼料原料、種子、砂糖、無糖インスタントコーヒー、皮革、バナジウム酸化物、銑鉄、鉄スクラップ、半導体製造装置、医薬品原料、中古衣料、美術品・骨董品などが新たに追加除外されました。
関税割当(TRQ)の設定:バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、マレーシアに対しては、米国産綿花・繊維の輸入を促すための関税割当(TRQ)を今後設定予定(当初3年間)となります。
鉄鋼・アルミニウム製品に対する扱い
二重課税の回避(本措置の対象外): 鉄鋼・アルミニウム製品に関しては、すでに「1962年通商拡大法232条(Section 232)」に基づく関税の対象になっているため、今回のSection 301追加関税(10%または12.5%)は対象外となります。
決定の経緯: 6月5日時点の関税提案段階から、Section 232に基づき関税が課されているすべての物品・部品は除外対象とされていました。パブリックコメントの募集過程でも二重課税回避への支持が多く寄せられ、米国貿易代表部(USTR)はこれらを除外リストから外さない(=Section 301の対象外とする)ことを維持決定いたしました。
原材料品目の追加除外: 鉄鋼スクラップ、銑鉄(pig iron)、鉄系くず(ferrous waste/turnings/shavings等)、アルミスクラップ、水酸化アルミニウムなど、原材料としての関連品目についても「米国内で十分な供給がない、またはサプライチェーンの混乱を招く」との理由から、今回新たに追加除外品目リストへ追加されました。
実務上の留意点: 232条の対象になっていない鉄鋼・アルミの下流製品(完成品など)がある場合は、個別のAnnex(附属書)にて経済圏ごとの詳細を確認する必要があります。
