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船荷証券(B/L)上にある5つの地名とは

お役立ち

2022.06.02

初めて海上輸送に携わることになった方や、もう一度基礎をしっかりと学びたい!そんなご要望にお応えして、物流のいろはである”お役立ち”トピックを開始いたしました。

海上輸送といえば、船荷証券(Bill of Lading:B/L)ではないでしょうか。

まずは船荷証券(B/L)に記載されている地名に注目して、船荷証券(B/L)をみてみましょう。

船荷証券(B/L)について

海上輸送に携わっていると船荷証券(B/L)は不可欠な存在です。
船荷証券(B/L)は運送人(船会社やフォワーダー)が発行し、荷送人(SHIPPER)と運送人が運送契約結んだことを証明する船積書類の一つで、とても重要なものになります。 輸出地では船会社が貨物の受取りと引き換えに輸出者へ発行する受取証となり、輸入地では輸入者が船会社から貨物を引取るための引換証になります。B/L券面上をみれば、表面へは荷主や受荷主、品物の引き渡し場所や品物の明細等、裏面には運送条件が記載されており、当該の運送に関わる各種の情報がわかるようになっております。

初回はよくご質問をいただく内容の一つといたしまして、船荷証券(B/L)に記載されている多種多様な文言の中から、様々な地名が記載された項目がございます。それらについてご説明させていただきます。

 

それぞれ役割がちがう5つの地名

① PLACE OF RECEIPT/荷受け地
運送人が貨物を引き受ける場所。運送人の責任はここから始まります。

② PORT OF LOADING/積み出し港
貨物を船に積む港のこと

③ PORT OF DISCHARGE/荷揚げ港
貨物を船から揚げる港のこと

④PLACE OF DELIVERY /荷渡し地
運送人が貨物を引き渡す場所。運送人の責任はここで終わります。

⑤ FINAL DESTINATION/最終仕向け地
貨物が最終的に向かう仕向け地のこと。運送人の責任は④PLACE OF DELIVERYまでで、ここに
記載された地名までではありません。

これらは船荷証券(B/L)券面上の比較的近いところに記載されており、 また同じ地名が表記されていることも多いため、混同して理解されるケースが見受けられます。

船荷証券(B/L)は運送契約でもあるので、①~⑤に記載された地名の役割は明確に分けられています。なお、運送人の責任は ①PLACE OF RECEIPT(荷受け地)での貨物引き受けにはじまり、④PLACE OF DELIVERY(荷渡し地) での貨物引き渡しをもって終了します。

 

ベトナム・ハイフォンから東京に輸入すると仮定してB/Lをみてみましょう!

①PLACE OF RECEIPT
HAIPHONG, CFSとなっていますので、ハイフォンのCFS(コンテナ・フレート・ステーション)で貨物を受け取った、つまり運送人の責任は、ここからスタートします。CFSとなりますので、混載貨物であることが分かります。ちなみにFCLであれば、コンテナを搬入した港から運送人の責任がスタートしますので、HAIPHONG CYと記載されています。

② PORT OF LOADING(積み出し港)
基本的には最寄りの港が記載されます。今回のケースではハイフォン港となりますが、内陸のCYもしくはCFS等で荷受けを行った場合は、①PLAECE OF RECEIPTと②PORT OF LOADINGで記載される地名が異なるケースもございます。

③PORT OF DISCHARGE
TOKYO, JAPANと記載されていますので、東京港で荷揚げされることが分かります。TOKYO, JAPANと記載されるケース、またTOKYO PORT, JAPANと記載されるケースもございます。 各運送人・船社によって、多少表記が異なることがありますが、原則的にはPLACE OF DELIVERY まで届けるための経路として予定されている陸揚港が記載されています。
なお、途中の寄港地での混雑などの理由により、荷主様に事前の通知なく、別の港で荷揚げして、PLACE OF DELIVERYに届くことがあります。

④PLACE OF DELIVERY
TOKYO CFSとなっておりますので、この場合は東京CFSにて貨物を引き渡すことになります。運送人の責任はここで終了することになります。FCLであればコンテナヤードでの引き渡しとなりますので、TOKYO CYの記載となります。

この他、TOKYO DOORという記載、荷送人が指定した場所まで配送することを指し、運送人の責任も指定した場所まで届けることが船荷証券(B/L)券面上で示されているという解釈となります。
しかし欧州発貨物においては、稀にこの記載が省略されるケースが散見されます。
これにより、東京CFSでの荷渡をオーダーした荷送人様と、東京Doorへの配送を期待していた荷受人様との間で、当地配送コストをめぐってトラブルに発展するケースがたびたび報告されています。こうしたことを避けるためにも、運送契約がどこからどこまでになっているのか?を明確に確認することをおすすめいたします。

⑤FINAL DESTINATION
荷主様の任意情報のための欄であり、運送契約には何ら影響がありません。いわば参考情報といった意味合いのもので、この欄に地名が記載されていたとしても、運送責任は④PLAEC OF DELIVERYに記載された場所までとなり、⑤までの輸送については関知しないことになります。この欄の使用例としては仕向地到着後の納品先(輸入者様の集配センターや、輸入者様の顧客であるエンドユーザー様)などを記載するのに適しています。

まれにエンドユーザー様の連絡先をNotify Partyに記載してしまう荷主様がおられますが、Arrival Noticeには海上運賃や付帯費用が記載されております。つまり仕入コストの一部が、エンドユーザー様に知られてしまうことに繋がりますので、注意が必要です。

船荷証券(B/L)券面上、中ほどに記載されている5つの地名が持つ意味は、このような解釈となります。 普段何気なく目にしている部分ではありますが、各々に重要な意味、運送契約と責任ということを明示していますので、海上輸送を行う際には今一度、各種条件がご希望の通りに手配されているか否か、ご確認することをおすすめいたします。

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