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冷凍・冷蔵危険物に対応!BCPも強化した新拠点、神戸西危険物倉庫が始動

残暑厳しい8月27日、神戸市西区見津が丘の神戸複合産業団地内にて、関西エリアでは稀少な機能を備えた新拠点「神戸西危険物倉庫(仮称)」の起工式を執り行いました。

これまで、関西地区には自社の危険物取扱施設が無かったため、お客様の多様なニーズにお応えしきれない側面がありました。この新しい倉庫は、増加する危険物取扱のご要望にお応えするとともに、新たな価値を創造する拠点となります。今回は、新倉庫が提供する革新的なサービスと、関西地区の化学品・危険物の営業体制について、担当者へのインタビューを交えてご紹介いたします。

新拠点「神戸西危険物倉庫」、建設の背景と役割

これまで、関西地区には日新独自の危険物取扱施設がありませんでした。既存の委託先施設も埋まりつつある中、5~6年前から自社施設が必要不可欠だと考えていました。関西のみならず、関東のお客様からも、新たな拠点の必要性についてご相談をいただくことが多く、双方のニーズに応えるべく、今回の新倉庫建設に至りました。

関西地区の危険物倉庫・施設は、需要が供給を上回り、お客様の多様なニーズに応えることが難しい状況です。こうした中で、サービス低下が懸念される声も聞かれます。しかし、日新の化学品サービスに対しては、長年の経験から培われたきめ細やかなサービスへの期待やご要望が寄せられています。

「神戸西危険物倉庫(仮称)」は、そのようなお客様の声に応えるために誕生しました。単なる保管場所ではなく、日新の長年のノウハウと国内外のネットワークを活かした、付加価値の高いサービスを提供する拠点です。この新施設を拠点に、日新が長年培ってきたお客様一人ひとりに寄り添う物流サービスを化学品・危険品分野でも本格的に展開し、関西の物流市場に新たな風を吹き込みます。

神戸西危険物倉庫の特長

この新倉庫は、単なる危険物の保管施設ではありません。お客様の多様なニーズに応え、物流の最適化を実現するために、以下の3つの特長を備えています。これらの機能によって、お客様の物流課題を解決し、より安心で効率的なサプライチェーンの構築に貢献します。

1.多様な保管品目と温度管理
消防法第4類危険物(第1石油類~第4石油類、アルコール類)をはじめ、高圧ガス、保税貨物、一般品まで幅広く対応します。特に注目すべきは、西日本でも稀少な「冷凍・冷蔵」の危険物保管が可能な点です。

現在、西日本・関西地区には、そのような温度帯で保管できる倉庫がほとんどありません。そのため、お客様によっては、わざわざ国内の他地域へ貨物を転送して保管しているケースもあると聞きます。新倉庫は、こうしたお客様の課題を解決します。半導体や部材に使われる生産材など、厳密な温度管理が必要な貨物にも対応できる点が、お客様にとって大きなメリットとなります。

2.安心のBCP対策と安全性
神戸西危険物倉庫(仮称)は、非常用発電機を備えており、停電時にも安定したサービスを提供します。また、立地そのものがお客様の事業継続を強力にサポートする大きな強みです。内陸部に位置し、地盤が強く断層もないため、津波リスクを軽減できます。これは、近い将来の発生が懸念されている南海トラフ地震に備えた、事業拠点分散化の選択肢としても最適です。関東ではあまり意識されないBCP対策のニーズが強い関西のお客様に、安心と安全をご提供します。

3. ワンストップ物流
敷地内には前述の危険物倉庫棟に加え、普通品倉庫棟や高圧ガス倉庫棟も併設されます。さらに、保税倉庫としての機能も備えているため、輸出入から通関手続き、国内での保管、配送まで、すべての物流サービスを一貫して日新がご提供します。これにより、お客様は貨物の種類ごとに複数の倉庫や業者に依頼する必要がなくなり、管理コストを削減できます。日新の専門的なサービスをワンストップでご利用いただくことで、サプライチェーン全体の効率化と最適化を実現します。

日新が考える、これからの関西の化学品物流

今回の新倉庫建設は、日新が関西の化学品物流市場で、本格的にサービスを展開していくという、強い決意の表れです。そこで、神戸西危険物倉庫計画に深く携わっている危険品営業担当者に、この新拠点が持つ可能性と、これから目指す未来について話を聞きました。

神戸複合産業団地 様々な企業の工場・倉庫が並ぶ

Q. 建設地の神戸複合産業団地は、どういった点が強みになりますか?
「この場所は、阪神淡路大震災でも被害が少なかった、地盤の強い場所です。そのため、南海トラフ地震に備え、内陸部に拠点を分散させたいというお客様のニーズにお応えします。
アクセス面も大きな強みです。神戸淡路鳴門自動車道・神戸西ICから約2km(車で約5分)という近さに加え、神戸港(約25km、50分)や大阪港(約45km、1時間)といった主要港へのアクセスも良好です。災害に備えながらも、陸・海の輸送手段に対応できる物流の要衝として機能します。」

営業担当窓口を担う吉崎次長

Q.  新倉庫では、どのようなお客様を想定していますか?
「特に、半導体関連や部材を扱うお客様にご利用いただきたいと考えています。半導体の製造には、厳密な温度管理や高圧ガスなど、特殊な保管条件が必要な生産材が多いためです。
この新倉庫の大きな特徴は、西日本でも稀少な『冷凍・冷蔵』の危険物保管が可能な点です。現在、西日本各地、関西地区を見渡しても、そのような温度帯で保管できる施設がほとんどありません。そのため、お客様によっては、貨物をわざわざ国内の他地域へ転送して保管しているケースも見受けられます。神戸西危険物倉庫(仮称)は、こうした煩雑な物流オペレーションをシンプルにし、お客様のコストと時間を削減することができます。ニッチなニーズにお応えできることが、私たちの大きな強みです。」

Q.  新倉庫の運営を通して、お客様にどのような価値を提供していきたいですか?
「私たちは単にモノを保管するだけでなく、お客様の物流課題を解決する『ソリューションプロバイダー』でありたいと考えています。危険品の輸出入から保管、配送までをワンストップで提供することで、お客様の物流業務を最適化します。さらに、危険品業務の専門知識を持ったスタッフが、お客様の個別のニーズにきめ細かく対応します。既に倉庫オペレーションを見据えた準備室を設置し、スタッフの一部には、神奈川埠頭倉庫での危険物倉庫運営の実務経験を積ませるなど、研修もスタートしています。当社のサービスをまだ知らないお客様にも、『危険品なら日新』と思っていただけるような、揺るぎない信頼関係を築いていきたいと考えています。」

Q.  お客様へのメッセージをお願いします。
「化学品・危険品の物流は、さまざまな規制から『難しい』と思われがちですが、私たちは危険物業務のプロフェッショナルとして、お客様のどんなお悩みにも寄り添います。どんなに小さなことでも、まずは一度ご相談ください。この新倉庫を通じて、関西の化学品・危険品物流をさらに盛り上げていきたいと考えています。」

神戸西危険物倉庫(仮称) 概要
所在地:            神戸市西区見津が丘6丁目26-1、2、3
敷地面積:                  31,271m²
延床面積:                  8,116m²
危険物屋外貯蔵所: 4,116m2
建物構造:               (倉庫棟)平屋 (事務所棟)2階建て
竣工予定日:    2026年10月

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