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輸入税関検査の流れとは?

「誠に申し訳ございません、税関検査となりまして…」という弊社営業担当からの電話を受け、予定していた納品・配送スケジュールを変更しならなければならないといった経験をお持ちのお客様も多いかと思います。お客様の「一日も早く手元に届けて欲しい」にお応えしたい一方、通関業者として税関から求められる質問に的確に回答し適切な通関手続を進めなければならないという、両者に挟まれた中で輸入通関の仕事は進められています。今回は輸入通関の担当者に税関検査の流れについて聞いてみました。

 

税関検査はどうして発生するのか?

そもそも税関検査はどうして起こるのか?税関HPには以下の記載があります。

外国から貨物を輸入する際には、税関に輸入(納税)申告を行い、税関の検査が必要とされた場合については検査を受け、輸入の許可を受けなければなりません。 この税関検査は、社会悪物品の流入を阻止し、貿易の秩序を維持するとともに関税等の適正な徴収等を確保することを目的に行われます。  具体的には、次のような観点から、輸入申告の内容と現品との同一性の確認が行われます。

(1)  覚醒剤・麻薬、拳銃等の社会悪物品や偽ブランド等の知的財産侵害物品等といった 輸入が禁じられている物品がないか。
(2) 食品衛生、植物防疫等の観点から、関税関係法令以外の法令により輸入の許可・承認等を要する貨物である場合、これら法令の規定する許可・承認等を受けているか。
(3) 原産地を偽ったり、誤認させたりする表示がなされていないか。
(4) 適正な納税申告がなされているか。
(以下略・税関HPカスタムスアンサー 1112より抜粋)

このように輸入される物品が法令に遵守しているのか、また適切な内容で申告がなされているのかということが確認されるのが輸入通関と言えます。こうした内容に疑問があれば、まずは税関からの質問という形で回答が求められます。それでも確認が出来ない場合は、現物を検査することで最終的な確認に至ります。

輸入許可書に記される区分

輸入が許可された後に「輸入許可書」が発行されますが、その書面にどのような審査を受けたか?という区分に関する記載があります。通常は以下の3つの区分となります。

現在輸出入手続きのほとんどはNACCS(輸出入・港湾情報処理システム)により処理されています。NACCSで輸入申告した場合は、以下のように3つの区分で判定がなされます。

区分1.  簡易審査扱い: 輸入(納税)申告後直ちに輸入許可されます。
区分2.  書類審査扱い: 税関に通関書類を提出して審査を受けます。
区分3.  検査扱い: 税関員が現物検査を行います。
(JETRO 貿易・投資Q&A 輸入に於ける税関の書類審査と現物検査:日本 より抜粋)

上記記載の通り、区分1であれば直ちに輸入許可が下り、品物を受け取ることが可能となります。区分2であれば書類審査、場合によっては追加での説明書類や資料の提出を以て輸入許可が下りることになります。区分3は税関の担当官が、実際に輸入申告されている品物を確認した上で輸入許可が下りた事を示しています。

区分3. 検査扱いでも様々な方法があります

現物検査といっても輸入される品物の形態や大きさ、また輸送方法によって様々な形態があります。ここではその検査方法と場所について説明いたします。

検査方法

a.見本確認: 輸入貨物のうち数量の確認を必要としない貨物につき、その一部を見本として税関が指定した場所で検査すること
b.一部指定検査: 性質および数量の確認を必要とする貨物のうち、均質等量に包装されたものの一部を検査すること
c.全部検査: 輸入貨物の全てを検査すること検査が行われる場所:検査が行われる場所は以下のような場所です。
a.検査場検査: 税関の検査場(通常は、検査場所で検査を行います)
b.現場検査: 税関検査場への持ち込みが困難な貨物の場合(大型機械など)
c.艀中検査: 艀に積んだままの状態の場合(木材、化学薬品など)
d.本船検査: 外国貿易船舶に積載したままの場合(小麦、木材など)
検査は税関長が指定した場所で行われますが、指定された場所以外で検査を受けようとする者は、税関長の許可を受けなければなりません。
(JETRO 貿易・投資Q&A 輸入に於ける税関の書類審査と現物検査:日本 より抜粋)

通常多くのお客様が利用されているコンテナ船で輸送された場合、税関検査の具体的な流れは、以下の通りとなります。

見本検査・検査場検査

FCL貨物の場合

見本検査・検査場検査は、検査対象の商品を税関の検査場に持ち込んで行います。そのため、検査場の予約、蔵置されているコンテナヤード(以降CYと表記)との連携および輸送手段の確保が必要になってきます。検査が決まると、検査場の予約、CYへ連絡を行います。

コンテナから検査対象の商品を抜き出すためには、CYに積まれている該当のコンテナを地上に平積みする作業が必要です。コンテナを移動するためには、CYに予約を行う必要があるため、すぐに検査を行うことはできません。

コンテナ内に複数種類の商品が入っている場合は、コンテナロードプラン(CLP)と呼ばれる積付表をもとに検査対象となった商品を取出し、予め手配したトラックで検査場に持ち込みます。

(流れ)コンテナシフト→検査対象となった商品を税関へ持ち込み→検査→検査終了後コンテナへ商品を戻す

LCL貨物の場合

LCL貨物のデバン作業

LCL貨物の場合もFCL貨物と基本的には同様に、検査場の予約、貨物が蔵置されているLCL倉庫(CFS)との連携および輸送手段の確保が必要になってきます。

検査が決まると、検査場の予約、LCL倉庫へ当該貨物の搬出依頼を行います。

LCL倉庫から検査対象となった商品をピックアップし、予め手配したトラックで税関へ持ち込みます。

(流れ)蔵置場所であるLCL倉庫から検査対象となった品物を税関へ持ち込み→検査→検査終了後倉庫へ商品を戻す

大型X線検査

大型X線検査装置
出典:税関HP

大型X線検査は、コンテナ又は荷物を積んだトラックごと大型X線に通して行われます。

そのため、検査場の予約、当該貨物が蔵置されているコンテナヤード(以降CYと表記)との連携および輸送手段の確保が必要になってきます。

検査が決まると、検査場の予約、CYへ搬出依頼を行います。

 

 

FCL貨物の場合

検査手配は検査前日までに!

検査対象となったコンテナをコンテナヤードから優先的に引き取るために、検査旗の手配が必要です。検査旗はコンテナヤードからコンテナの引き取りの優先権が与えられることを示す1メートルほどある大きな旗です。

(流れ)検査予約→検査旗を税関からピックアップし乗務員へ渡す→検査貨物をコンテナのまま大型X線検査場へ→輸入許可になればそのまま納品が可能

※X線検査を実施した後、開披検査(外装を開けて商品の確認を行う)になる場合も有ります。

LCL貨物の場合

検査手配は検査前日までに!

蔵置場所であるLCL倉庫から検査対象の貨物を引き取る場合、検査旗は不要です。

(流れ)検査予約→検査対象となった商品を蔵置場所である(LCL)倉庫から大型X線検査場へ→輸入許可になればそのまま納品が可能

※X線検査を実施した後、開披検査(外装を開けて商品の確認を行う)になる場合も有ります。

まとめ

このように、税関検査には荷物の移動が伴う為、前日から準備を要する場合がほとんどです。航海スケジュールが予定通り運んだとしても、検査になる可能性を考慮し、納期には余裕を持ってご手配いただくことをお勧め致します。

ご不明な点等がございましたら、担当営業までお問合せください。

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