南本牧ターミナル営業所
海上交通の玄関口としての横浜港には多くの埠頭がございますが、新たな物流拠点として従来の本牧埠頭の南側に整備され2001年に開業したのが南本牧埠頭です。大型化するコンテナ船に対応するため最大18mの水深を持つ、日本国内でも有数の岸壁となっています。日新では同埠頭内に南本牧ターミナル営業所を設置し、SITC・SINOTRANSの代理店業務を担い、中国や東南アジア各地へのゲートウェーとして、コンテナターミナル運営をおこなっております。コンテナの搬出入管理や保管業務、本船入出港に関わる手続やドキュメンテーションの管理など、コンテナヤード内でのオペレーションを通じて、効率的かつ安全な物流サービスをご提供いたしております。
フラットラックコンテナの管理
通常ご利用頂いているドライコンテナに対して、オープントップコンテナやフラットラックコンテナは特殊コンテナと呼ばれ使用用途が限定されるため、各港では限られた本数の在庫となります。南本牧ターミナル営業所では、重要な拠点港として位置付けられるため、コンテナの在庫を切らさずにお客様のニーズに迅速にお応えすることが、管理上の重要な項目の一つとなっています。
特殊コンテナと言っても外寸はドライコンテナと同じサイズですので、通常の使用される荷役機器の利用が可能です。返却されたコンテナは破損などが無いことを確認した上で在庫として保管されます。次の予約や搬出スケジュールが決まっているのであれば、そのままの姿で段積みを行い保管されますが、予定が定まらない場合は暫くの間、在庫として保管されます。
広大なコンテナヤードとはいえ、効率的なコンテナの保管配置プランは必須です。保管スペースの節約を目的として、運用予定が定まらないフラットラックコンテナは、端面壁(エンドウォール)を折り畳むという対応を行います。
フラットラックコンテナの折り畳み作業
フラットラックコンテナは両端に壁(端面壁・エンドウォール)がありますが、固定金具を外すことで内側に倒れ、板状にすることが可能です。これにより高さが通常のドライコンテナの1/4程度となりますので、ヤード保管時のスペース節約に大きく寄与することが出来ます。
順を追って作業を見てみましょう。
①ロック機構の固定と解除
折り畳みの構造は非常に簡単なもので、四隅の柱(コーナーポスト)の根本にあるロック機構を解除することで、折り畳むことが可能となります。具体的には柱に開けられた穴に挿入されているバーを動かし引き抜くことで、ロック機構を固定・解除することが可能となります。バーの動きは黄色いキーが溝に嵌って制約されます。
なおロック機構には新旧2つのタイプが混在しており、新型は角型のバーが付いているもの、旧型はボビン状の金具が丸棒を芯として、左右にスライドすることで固定・解除を行います。
②端面壁を折り畳む
周囲の安全を確認した上で、端面壁を折り畳みます。コーナーポストの根本の可動部には、板バネが仕込まれており、サスペンション機能を発揮し、一気にバタン!に倒れ込まないような構造になっています。
基本的には手動操作でこれらの作業を行いますが、航海が続いた場合などは可動部に汚れや錆が付着し、固着して動きが鈍くなってしまうケースもございます。取材時にも3人で押しても端面壁が倒れず、フォークリフトの爪を用いて折り畳むシーンがございました。こうした固着による可動部の不良は、本船デッキ上の積載で露天での輸送や、折り畳む機会が少なく端面壁を立てたままでの運用が続いた際に見られる現象とも言えます。
最後にコンテナ中央部にあるピンを動かして、端面壁の動きを固定し、コンテナ四隅に収納されているツイストロックの爪を反転させ、重ねて保管が出来る状態となります。
折り畳まれたフラットラックコンテナの厚みは20fで約40cm、40fで約65cmになります。(40fは長い分、構造上強度を持たせる必要があるので、厚みがあります)ヤード内ではコンテナ4基を1セットとして取り扱い、構内専用シャーシに載せて保管場所へ移動します。
フラットラックを組み立てる作業は?
コンテナヤード内で保管されているフラットラックコンテナですが、搬出予定が定まると組み立てる作業が発生します。折り畳みと逆の作業を行い、運用される状態に戻した上でお客様に引き渡されます。
作業場所へ移動したコンテナは、フォークリフトの爪先で端面壁を持ち上げて組み立てが完了します。作業完了後、コンテナに破損が無いことを確認した上で搬出を待ちます。
コンテナヤードの中では普段見ることの出来ない作業が沢山ありますが、特にフラットラックコンテナやオープントップコンテナは、ヤード内の取扱も通常のコンテナとは異なる作業が必要となります。今後もコンテナヤード内でのオペレーションについてご紹介いたしますので、ご期待ください!