航空輸送の特徴
航空輸送の特徴は、なんといってもその速さにあります。
例えば、船を使った海上輸送で大阪から米国・ロサンゼルスへ貨物を輸送した場合は約2週間(336時間)かかりますが、航空輸送の場合は約13時間と、時間差は26分の1です。※平時の場合による
しかし、航空輸送は輸送にかかる費用が海上輸送に比べ割高で、輸送できる貨物の重量や大きさも制限があります。
そのため運ぶ貨物の特性や緊急性等によって航空貨物と海上貨物を使い分けることが国際物流では重要になります。
航空貨物に適した貨物とは
国際物流において、次の貨物が航空貨物に適しているといわれております。
高付加価値貨物 | 貴金属や精密機器、半導体電子部品、医薬品といった貨物の商品価格に占める運賃の割合が低い貨物 |
緊急貨物 | 生産工場の大型設備機器の部品や、工場の生産遅延に基づく納期調整等、至急運ばなければ生産が停止するなど納期が厳しい貨物 |
海上貨物に適さない貨物(輸送中に劣化の恐れがあるもの) | 冷凍・冷蔵できない生鮮食品、動植物、流行性の高い商品(季節商材の衣類)、医薬品といった貨物 |
重量や容積の小さい貨物 | 小型機械部品やコンピューター等に用いるマイクロチップのように重量や容積が小さく価格の影響を受けにくい貨物 |
医薬品は、輸送時のダメージについて非常に厳しい基準があり、また海上コンテナ輸送における長時間(日数)の輸送に適さないため航空貨物として多く扱われております。
なお貨物へのダメージを防ぐため段積み(他貨物の上乗せ)を厳禁することも多く、コンテナ上部に段積み禁止のコーン(Do not double stack)を積むなど対応を行います。
航空貨物の流れ
航空貨物の輸送には、航空会社または航空代理店へ直接申し込む「直送貨物」と、利用航空運送事業者(フォワーダー)に依頼する「混載貨物」の2種類の他、「チャーター貨物」や「国際宅配便貨物」などがあります。
■航空輸送の種類
直送貨物 (Straight Cargo) |
荷送人が航空会社と直接運送契約を結ぶ |
混載貨物 (Consolidated Cargo) |
荷送人と航空会社との間にフォワーダーが入る輸送形態 フォワーダーが複数の荷主から小口貨物を輸送人として引受け仕向け地別に大口貨物にまとめた上で、航空会社にフォワーダーが荷主となって輸送契約を結ぶ 下記の貨物は今回貨物として受託することができない 【貴重品、信書、動物、遺体/遺骨、変質・腐敗しやすいもの、危険品、法令・則により禁じられたもの、その他運送に不当と認める物品】 |
チャーター貨物 | オウンユースチャーター:荷主が1機をチャーター スプリットチャーター:複数の荷主による直接的なチャーター フォワーダーチャーター:フォワーダーがチャーター契約を締結し複数荷主の貨物を輸送 |
国際宅配便貨物 | 民間配送会社(DHL、FedEx、UPS等)が行う貨物便。少量の物品の輸送に用いられる。 |
■日新(フォワーダー)を利用した航空貨物の輸送の流れ
上記図のように、フォワーダーは貨物の引取り、国内配送、梱包、通関など総合的なサービスを提供しています。
航空機の種類と搭載方法
■航空機の種類
航空機には皆さまが旅行や出張などで搭乗される機材の旅客機(Passenger)と貨物専用便(Freighter)があります。
旅客機では上半分に客席が設置され、下半分が貨物スペース(高さ160cmまで)になります。一方、貨物専用便では、パイロット2名のみが搭乗し、航空機の胴体部分すべてが貨物のスペース(最大高300cmまで)となります。
■搭載方法(ローディング)
コンテナ | コンテナの中に仕向地港別に貨物をつめ、貨物室に積み込む方法 コンテナのサイズについても、パレット同様にIATAのルールで規格化されている 航空機用のコンテナは、航空機内の限られたスペースに貨物を効率的に積み込むため、搭載する航空機の形状に合わせ様々な形状をしている |
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パレット | アルミ製パレットの上に、仕向地港別に貨物をのせパレット単位で航空機の貨物室へ積み込む方法 パレットのサイズは国際航空運送協会(IATA:International Air Transport Association)のルールで規格化されている パレット上の貨物はビニールやネットなどで固定される |
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バルク | 貨物をユニット化せずにそのまま貨物室に積み込む方法 旅客の手荷物などの輸送方法と同様 |