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【トランプ関税・通商政策】カナダ製品への追加関税50%発動/輸入者情報(Form 5106)の厳格化/中国発の迂回輸出報告書について

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2026.09.09

当Navigationでも度々お伝えしているアメリカ・トランプ政権下の関税・通商政策ですが、カナダ製品への50%追加関税や輸入者情報の厳格化、さらには迂回輸出対策など、実務に大きく直結する新たな動きが相次いでおります。米国現地法人から届いた最新の通商・物流動向をまとめましたので、今後の実務やリスク管理にぜひお役立てください。

カナダ製品に対する50%追加関税の発動について

報道の通り、米国トランプ政権はカナダ産品に対する50%の追加関税を発動いたしました。詳細につきましては以下の通りです。

背景・目的
酒類、乳製品、自動車の3分野において、カナダ側が米国産品を不利に扱っているとの主張に基づき、その不利益を相殺することを目的に設定されました。

適用開始日時
2026年8月22日 午前0時01分(米国東部時間)より適用中

適用法令
通商法338条(Section 338)

対象製品
指定のHTS Code一覧をご参照ください。

※USMCA(協定)対象品であっても、今回のSection 338追加関税の対象となります。
※他の追加関税とも重複して発生します(ただし、Section 232との重複を避けるための除外規定「9903.03.15:追加税率0%」あり)。

その他の運用
Duty Drawback(関税払い戻し制度)の対象となります。
HTSUS Chapter 98の適用規則に基づき適用されます(9802.00.40/50/60の場合は海外での修理・改造・加工価格、9802.00.80の場合は完成品価格から米国産品コストを引いた額に適用)。
FTZ(外国貿易地域)搬入品は、FTZ搬出時の関税率が適用されます。

カナダによる報復関税

カナダ側も9月8日より50%の報復関税を開始します(対象HTS Code一覧参照)。

【関連リンク・資料】
Section 338 HTS List
Whitehouse Fact Sheet (08.20.2026)
カナダ側・報復関税HTS List

輸入者情報の正確性強化(CBPによるForm 5106厳格化)

米国税関・国境警備局(CBP)が輸入者情報の正確性を強化する方針を発表しました。これまで非居住者として米国へ輸入を行っていたお客様は特にご注意ください。

背景・目的
違法・危険物品の流入防止
輸入者の特定および関税支払責任の明確化
強制労働、原産地規則、知的財産権、製品安全など各種連邦法のコンプライアンス強化

強化の具体的内容
提出された「Form 5106」の情報が不正確または不完全と判断された場合、IOR番号(輸入者番号)が即座に無効化されます。

必須記載項目
輸入者名、EIN/SSNまたはCBP割り当て番号、郵送先住所、実際の所在地住所、電話番号、Email Address
※住所(Address)は実際の事業所在地が必須です(PO Boxやカスタムブローカー・フォワーダーの住所は不可)。
※電話番号・Email Addressも代理人のものは禁止されています。

無効化の開始日
2026年9月18日以降

【関連リンク・資料】
Whitehouse Fact Sheet (06.03.2026)
CBP通知

第三国迂回輸出に関する報告書(参考情報)

Whitehouseが2026年8月に公表した、中国発の関税逃れのための第三国迂回輸出(トランスシップメント)に関する報告書を別添よりご案内致します。以下、要約となります。

■背景
2018年にトランプ政権が中国に対する対中301条関税を課したのち、中国の輸出業者は関税の低い第三国を経由して製品を米国に輸出するようになりました。軽微な加工・再梱包・ラベルの貼り替え・書類上の原産地変更などにより、実質的には中国製品でありながら別の国が原産地であるかのように装う手法が広がったとされています。

■規模
40カ国以上がこの「迂回輸出リスク」の高い国として特定されており、メキシコ・カナダ・EU・インド・日本・韓国といった大規模貿易国から、カンボジア・UAE・パナマなど特定の優位性(安価な労働力、自由貿易地区、保税倉庫など)を持つ小規模国まで3つの階層(Tier)に分類されています。

年間の推定迂回輸出額は情報源によって幅があり、ゴールドマン・サックスの約400億ドルからAltana社の約3030億ドルまで、5つの推計(政府・民間)が紹介されています。中心的な推計は600億〜1090億ドル程度です。

■経済的損失
関税収入の損失は年間約100億〜1000億ドル超と試算。中心ケースでは、雇用約45万人分の喪失、GDP1130億〜1500億ドルの減少、連邦税収190億〜260億ドルの減少が見込まれるとしています。デトロイト、フェニックス、シカゴなど特定の米国製造業拠点と、メキシコ・韓国・ベトナムなど海外の迂回輸出拠点を「姉妹都市」的に対応づけ、具体的な産業(電動機、半導体、プラスチック製品など)への影響を示しています。

■対応策
CBP(米国税関・国境警備局)によるAIを活用した「Detective Border(探知型国境)」構想を提示。船積みデータ、原産地履歴、所有関係、画像解析などを統合し、不正な迂回輸出を検知・摘発する体制の強化を目指すとしています。2026年の大統領令14411号(税関執行強化)により、輸入者の説明責任、保証金要件、所有権開示などが強化されています。

■結論
報告書は、これらの対策の効果を判断するにはまだデータの蓄積が不十分であるとしつつ、迂回輸出は「何十億ドルもの国家財政上の損失」をもたらしている深刻な問題だと結論づけています。

【関連リンク・資料】
The Great Transshipment Scam(08.13.2026)

 

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