そもそも混載貨物とは?
海上混載輸出サービスの説明の前に、海上コンテナの利用法についてご紹介いたします。
一般的に海上コンテナには2つの利用方法があり、FCL(=Full Containar Load)、LCL(=Less than Container Load)と呼ばれています。
FCLは、荷主がコンテナ1本を丸々貸切って輸送する利用方法で、CYとも呼ばれることがあります。
FCLではコンテナ1本のスペースが丸々使えることで、ニーズに応じた自由な輸送形態が取れます。その反面、運賃やサーチャージといった諸費用の他、倉庫作業やトレーラーでの輸送といった付帯料金が発生するため、相応の物量がないと高コストな輸送となってしまいます。
一方、LCLは複数の荷主の小口貨物を同じ仕向地へ行く他の荷主の小口貨物と積み合わせて輸送業者が1本のコンテナに仕立てて輸送する利用方法で、CFS・混載貨物と呼ばれることがあります。
LCLでは貨物が少量でもその物量に見合った料金体系となるため、コスト面ではFCLより少額での輸送が可能となりますが、様々な品物が1本のコンテナの中に入るため、他の品物の輸送に影響を与えない配慮が必要となります。
またLCLを仕立てる輸送業者側の視点で考えると、規格化された限られたスペースをいかに有効に活用するか?ということが命題であるともいえます。
■混載便のメリット・デメリット
輸送方法 | メリット | デメリット |
FCL | 一度にたくさん貨物を運べる 特殊な形状の貨物も運べる |
物量が少ない場合にLCLに比べてコストが割高になる |
LCL | 物量が少ない場合、FCLほどコストがかからない FCLでスペースが取れないときでもLCLなら空いていることもある* |
他の貨物と合積みするため、貨物の形状や梱包強度といった引受基準をに満たす必要がある |
*船会社との契約で混載用のコンテナスペースをあらかじめ確保しているため
LCL ~混載便輸送の流れ~
輸出者(荷主)の工場や日新の倉庫などでコンテナ詰めされ、CY(コンテナヤード)へ運ばれるFCLとは違い、LCLは輸出者(荷主)が貨物をCFS(コンテナフレートステーション)と呼ばれる倉庫に貨物を搬入し、貨物の荷姿や状況、検量を終えた後、仕向け地ごとに他の貨物と合わせてコンテナへ積み込まれます。コンテナに貨物を積み込む作業はバンニングと呼ばれています。
関東発のLCL貨物の場合、東京と横浜2つのCFSで貨物を受付していますが、必ずしも搬入場所がバンニング場所とを一致するわけではなく、仕向け地によって積み出し港が港からの船積みということも珍しくありません。その場合は搬入された貨物をトラックでバンニングを行う港の最寄のCFSに横持ちし、双方のCFSで受付をした貨物と一緒にバンニングを行います。
港によりCFSカット日が異なるケースがございますが、その理由に横持ちを行うために1日早くなるといった事情がございます。
また、CFSは保税地域となるため、輸出者はCFSで税関の輸出許可を受けるか、輸出許可済の貨物をCFSへ搬入する必要があります。
上記の図のようにCFSにてバンニングが完了したコンテナはCFSオペレーターによりCYに輸送され、本船へ積み込まれます。
LCL ~混載便の引受基準とは~
毎回様々な品物が積まれるLCL。荷姿もサイズも重量も異なる貨物をいかに効率的にコンテナに積載するかが収益性に大きな影響が及ぼすため、輸送業者側からすると重要なポイントになります。搬入される貨物のリストをみながらコンテナ本数やバンニングのプランを検討していきます。そのプランは平面的なものではなく、立体的なものでありコンテナ内の重量のバランスなども考慮する必要があります。
またCFSカットと呼ばれる締切日の翌日にはバンニングを行い、港湾のヤードへ搬入する必要がありますので、時間的にもスピーディーな対応が求められるため、輸送業者はそれぞれ引受基準というものを設けて効率的なバンニングを行えるようにして対応していますが、その際にどうしてもお取扱いがむずかしい荷姿や形状というものがあります。
お取扱いがむずかしい貨物や条件つきで受付を行う貨物などは次のようなものになります。
段積みできない貨物
様々な貨物が積みつけられるLCLでは、品物を守る梱包もしっかりとしたものが求められます。
スペースを有効に活用する以上、他の貨物が上に載るケースもあります。重量品を載せるようなことはもちろんいたしませんが、相応の荷姿・梱包が必要となります。
また段積みを行わないように、一カ所飛び出た形で搬入されるケースもございますが、運賃計算上はその飛び出た部分も高さとして算入、また活用できない上段のスペースの補填として追加費用を請求する可能性もあり、結果として割高な運賃計算となるケースもございます。
細長い貨物(長尺貨物)
コンテナ内には一般的な1.1m × 1.1mのパレットが2枚並び、20fであれば6枚、40fであれば12枚並びます。
例えば長さ3m、縦50cm、横50cmという細長い品物が入ることで、積載できるパレットの数は20fであれば半減、40fであれば9枚に制約されてしまいます。
運よく残りのスペースに積載できるサイズやバラの貨物が同じタイミングにあればよいのですが、そううまくは行かないのが実情です。また段積みができるといわれても、細い幅に載せられるものも限られます。こうした事情から取扱う際には、活用できないスペースの補填として一部追加費用をいただくく場合があることをご承知おきください。
重量品
前述の2つは積載効率といった輸送業者側の事情に因ることが大きいのですが、重量品の取扱いについては物理的な制約も関わってきます。
コンテナ内部での積載作業に不可欠なフォークリフトですが、限られたスペースに入り作業ができるのは、一般的に3t前後の機種に限定され、安全に作業が可能な最大重量として2.5t程度を目安として取扱いを行っております。
またコンテナに積み込める最大積載重量も決められているためその範囲内を守る必要もございます。重量品ばかり積載してしまうと、コンテナ内にスペースが残っていてもウエイトオーバーで他貨物が積載できないと事態となりますので、上記制約の範囲内でのお取扱いとさせていただいております。
崩れてしまうカートン
これは輸出というより輸入で見られたトラブルですが、毎回カートンが潰れてしまいご迷惑をお掛けしてしまうことがありました。これは梱包強度によるトラブルで、段積みを禁止と発地側に伝えてその通りに積んできたのにも関わらず、日本側でコンテナを開けてみるとカートンが潰れているというものでした。
東南アジアや中国からの直行船であれば、倉庫で荷物を御預かりしてから日本側に届くまで、1~2週間程度の時間を要します。その間、コンテナに積載されているのは最大で10日間程度となりますが、季節によっては高温多湿の条件下での輸送となるため、カートンが湿気を吸って弱くなり、荷崩れを誘発する原因となっていました。
日本製のカートンとは紙質も異なり、またシングル・カートンであったことが要因と特定されました。国内での輸送では問題が発生しなくても、国際間の長時間での輸送となると、想定できない事態も発生いたします。他貨物との積み付けに耐え得る荷姿や梱包が必要とされるだけでなく、輸送時間にも耐え得ることが必要となります。
汚れてしまう可能性がある品物
輸送時間に耐え得る荷姿も重要ですが、金属材では錆の発生が大きな問題となります。防錆油を多めに塗っていただくなどの対策を講じていただくのですが、ときとして梱包された隙間から漏れ出し、隣接して置かれた品物やコンテナの床面を汚損してしまうことがございます。
こうしたケースではほかの品物の汚損の保障やコンテナ内の清掃や修繕といった費用が発生するケースも想定され、現地についた後にこうした話が舞い込むこともございます。様々な品物が積載されるLCLになりますので、FCLで輸送する場合以上に荷姿や梱包にご配慮をいただくことが必要となります。
名前の分からない品物
LCL貨物を扱う倉庫は、日本発着のみならず、世界各国の様々な地域に向けての貨物を扱っています。そうした倉庫に貨物を搬入する際にはケースマークが必須です。ケースマークは貨物の顔や名札とも言われています。
どこの誰の品物でいくつあるのか?といった情報を各々の品物に明記していただけないと、混同といったトラブルの要因となります。一つひとつの品物にケースマークを付けるのにお手間を取らせてしまい申し訳ないのですが、トラブルを未然に防止する意味でも分かりやすいケースマークの明示へのご協力をお願いしている次第です。
日新の混載サービス
当社の混載サービスは、主要港15箇所へのダイレクト混載サービスと経由便の2種類がございます。
ダイレクト混載サービスは日本の港を出港後、仕向け地までコンテナの詰め替え作業がないため早くて安全です。一方、経由便はシンガポール、釜山、香港を経由としてコンテナの詰め替え行い目的地までの輸送するサービスで当社の現法のみならず現地代理店網を駆使し世界1200カ所以上のCFSへ輸送が可能です。
また、当社では現地法人や現地代理店と連携することでCFS渡しにとどまらず、お客様の希望する倉庫や工場までの複合一貫輸送も行っております。
小口貨物を世界各国へ運びたい!そんなお客様にぴったりな日新の混載サービスをぜひご利用ください。