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専門講義とリチウムイオン電池実機解体で、LiBerthの安全品質を次なるステージへ

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2026.04.02

2026年3月12日、北関東ロジスティクスセンターにおいて、リチウムイオン電池(LiB)の循環物流ソリューション「LiBerth」の担当者を対象とした実務研修会を開催しました。単なるサービス紹介にとどまらず、LiBの基礎知識から事故の構造的要因までを網羅。専門的な知見と現場での実機検証を通じ、安全なバッテリー活用社会を支えるプロフェッショナルとしての意識を共有しました。

専門家から学ぶ「なぜ熱暴走は起きるのか」

専門家を招聘して講義が行われた

研修会は、まず座学からスタート。ブルースカイテクノロジー株式会社の専門家を招聘し、 LiBが高いエネルギー密度を持つ理由や、発火のトリガーとなる「内部短絡」や「過充電」のメカニズムについて科学的根拠に基づいた講義が行われました。

研修会の第一部は、リチウムイオン電池(LiB)の根幹を成す「セル」の基礎講座からスタートしました。LiBが他の二次電池と比較してなぜ圧倒的なエネルギー密度を持つのか、その科学的背景を学びました。

電池内部でのリチウムイオンの動きは、正極(ピッチャー)と負極(キャッチャー)のキャッチボールに例えられます。通常、イオンは電解液を介してスムーズに行き来しますが、過充電や低温下での急速充電などの負荷がかかると、キャッチャーである負極側で受け入れきれなかったイオンが金属リチウムとして表面に析出します。これが「デンドライト(樹枝状結晶)」です。この鋭利な結晶が、正負極を隔てるわずか数十ミクロンのセパレータを物理的に突き破ることで内部短絡が発生。一度短絡が起きると、蓄えられたエネルギーが一気に解放され、わずか数秒で1000℃を超える「熱暴走」へと至ります。この爆発的な反応のメカニズムを理論的に理解することで、物流における衝撃や温度管理がいかに生命線であるかを再認識する機会となりました。

【パック編】巨大なエネルギーを制御する「BMS」の役割

BMSを取り外す(解体演習より)

第二部では、複数のセルを連結し、一つの巨大なエネルギー源とした「バッテリーパック」の構造について深掘りしました。パック化された電池を安全に機能させる鍵は、各セルの電圧や温度をミリ秒単位で監視・制御するBMS(バッテリーマネジメントシステム)にあります。講義後の質疑応答では、物流現場から「SOC(充電状態)を下げれば、輸送の安全性は担保されるのか」という実務に直結する鋭い問いが投げかけられました。これに対し専門家からは、「SOCを30%以下に落とすことで、万が一の熱暴走時のエネルギー放出量を劇的に抑え、延焼リスクを低減できるのは事実。しかし、化学エネルギーが内包されている以上、リスクを『ゼロ』と断言することはできない」との回答がありました。この見解を受け、参加者はSOC管理というソフト面での対策に加え、万が一の事態を物理的に封じ込めるLiBerthのような専用容器の併用こそが、安全品質を完結させる唯一の手段であることを確信しました。

【安全・工程編】「異常」を早期に察知するプロの視点

第三部では、電池の再製品化の行程(検分・解体など)に潜むリスクと、事故発生時の初動対応を学習しました。一見、物流とは無縁に思える製造工程ですが、ネジの締結トルク不足やコネクタのわずかな接触不良が、輸送中の振動によって数ヶ月後に発火事故を引き起こす「遅延発火」の原因になるなど、工程の不具合が物流段階のリスクに直結している現実を学びました。

特に実務担当者の注目を集めたのが、目に見えない異常を五感で察知する手法です。例えば、セルの安全弁が作動した際に漏れ出す電解液特有の「甘い匂い」や、微細な電圧降下の予兆。こうした小さなサインを見逃さないプロの視点を持つことで、事故を未然に防ぐ水際対策が可能になります。

「何となく運ぶ」のではなく、電池の生い立ちから弱点までを知り尽くした「電池のスペシャリスト」として、お客様のサプライチェーンを守り抜く。そんな決意を新たにする、極めて密度の高い研修となりました。

【解体編】実機に触れて知る、高電圧バッテリーの「真実」

自動車用バッテリーの解体を見学する

第4部は場所を作業エリアへ移し、実際に電気自動車等で使用されている大型バッテリーパックの解体演習を実施しました。絶縁手袋を着用し、絶縁工具を用いて緊張感の中、専門家の手ほどきを受けながら、強固に密閉されたカバーや部品を一つずつ開放していきました。

内部に現れたのは、整然と並ぶ多数のモジュールと、それらを繋ぐ複雑なバスバー、そして緻密に張り巡らされたBMSの配線です。資料で学んだ絶縁処理が、いかに物理的なスペースと特殊な部材によって担保されているかを目の当たりにし、解体を進めるごとに、「輸送中の振動や衝撃で損傷することの危うさ」を全員が肌で感じることとなりました。作業は2人以上で行うことを原則とし、熟練者であっても必ず安全作業マニュアルを一人がみながら、作業者に指示を出し、それを復唱して作業に取り掛かることが徹底されていました。

会場の北関東ロジスティクスセンター
作業には絶縁工具を用いる
常時2名で確認を行い、作業を進める
テスターで残存する電流・電圧を測定
各部のボルト緩めて、カバーを外す
内部の様子
低圧電の講習を受けた日新スタッフも作業を体験する
各部の解体作業が進む
モジュールを取り出す
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特に、モジュールを取り出す工程では、そのコンパクトなサイズに凝縮されたエネルギーの巨大さと、それを守るパック構造の重要性を再認識。普段、私たちが貨物として取り扱っている箱の内部にある、極めてデリケートかつパワフルな実像に触れたことで、安全への解像度が飛躍的に高まりました。

【これからのLiBerth】「知見」を武器に、次世代物流をリードする

今回の研修を通じて、LiBerthに携わるメンバーは、最新の専用容器というハードを使いこなすスキルに加え、電池の化学的特性や製造工程のリスクまでを網羅したソフトの知見を手にしました。

LiBerth事業を担当する杉山次長

リチウムイオン電池は、脱炭素社会を支える不可欠なデバイスですが、その物流には常に背中合わせのリスクが存在します。日新は、単なる輸送の代行者ではなく、電池の生い立ちからリスクの芽までを知り尽くしたパートナーとして、お客様のサプライチェーンに安心を提供し続けます。こうした研修の機会を継続的に設けて、高い安全意識の向上に繋げています。

「リチウムイオン電池の輸送や保管のことで困ったら、まずは日新のLiBerthチームに相談してみよう」。そう言っていただける信頼を築くべく、私たちはこれからも現場の経験を活かし、安全品質のさらなる高みを目指してまいります。

LiBerthホームページはこちらからご覧いただけます。

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