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日新 × パナソニックVIXELL ~医薬品の国際輸送取組み~

新型コロナウイルスワクチンの輸送で注目された超低温輸送。
当社ではパナソニック株式会社の真空断熱保冷容器VIXELLを活用し、医薬品の国際輸送に新たな価値を提供いたします。

日新の医薬品物流について

日新では、医薬品およびメディカル・バイオ分野の通関・国際輸送・倉庫保管・国内配送業務を30年以上に渡って手掛けております。

具体的には製薬会社様からのご依頼で医薬品を取扱う他、研究機関で用いられる試薬や検体、医療機器、化学品メーカー様から原料輸送を承るなど幅広いお客様とともに、実績を重ねております。

南港にある医薬品保管庫

医薬品物流のトレンドと課題

近年、「医薬品物流」における「温度管理輸送」は必要不可欠な内容になっております。
理由は科学技術の進歩により再生医療等の分野が発展したこと、GDP(=Good Distribution Practice 医薬品の適正流通)の考え方が世界的に浸透したこと、気候変動による影響の3点が考えられます。

特定の患者のために処方される医薬品は、患者の来院日にあわせて製造され、治療が行われるため、安全性への追及や細胞等の品質管理が欠かせません。取扱品目や使用目的、輸送距離によってどの温度帯で管理・輸送するかのバリエーションも様々です。

GDPは、医薬品等が患者(消費者)のお手元に届くまでの流通過程における品質保証を目的としておりますが、それにとどまらずその医薬品の製造に使用した原薬等の品質維持も重要になってまいりました。

気候変動については、日本でも6月には、既に真夏日を計測するなど、5月から10月頃まで気温の高い日が続くことから温度管理輸送による品質維持が不可欠になっています。

 

医薬品輸送の主な温度帯と温度管理輸送

温度帯 説明 主要品目
-150℃ 以下 液体窒素を冷却材とし、DryShipperとよばれる専用容器で輸送 細胞
-60℃ 以下 ドライアイスを保冷容器に入れて輸送
-60℃ 以下では細胞の分化が緩やかになることから品質維持に貢献するといわれている
ワクチン、細胞、検体等
-20℃ 蓄熱材を保温容器に入れて輸送 原薬、検体、化合物、培養薬品等
+2℃~+8℃ 蓄熱材を保温容器に入れて輸送
寒冷地にトラック輸送する際、加温車を用いる
細胞、医薬品、原薬、検体、化合物等
+15℃~+25℃ 蓄熱材を保温容器に入れて輸送
寒冷地にトラック輸送する際、加温車を用いる
細胞、医薬品、原薬、化合物等
+30℃ 以下 商品に遮熱シートを被せたり、パレットの側面を断熱材で囲った上、中に蓄熱材を入れて輸送する 医薬品、原薬、化合物等
+37℃ 蓄熱材を保温容器に入れて輸送し、トラック輸送には加温車を用いる
医薬品等をお届け先の医療機関ですぐに利用できるよう、人肌に近い温度でお届けする医薬品以外ではレアな温度帯
細胞

医薬品はその特性から航空輸送がメインとなっておりますが、リーファーコンテナを利用し温度管理を行いながら海上輸送するケースも増えてきております。

温度管理輸送の方法は、以下の2つに分かれます。

アクティブ型 リーファーコンテナのように電力を用いて輸送容器内の温度管理を行う
パッシブ型 電力を使わず輸送容器内部に蓄熱材(保冷剤やドライアイス)で温度管理を行う

アクティブ型はバッテリーや冷却設備を搭載しているため容器のサイズも必然的に大きくなります。よって輸送する物量が少ない場合は積載効率が低くなってしまい、輸送コストが高くついてしまう点が難点です。
他方、パッシブ型は物量に応じて輸送容器を選べる点が利点です。しかし、ドライアイスを使用した従来の輸送容器はー20℃以下を最長6日程度で維持するのが精一杯でした。
そのため、輸送期間が1週間を越えてしまう場合には輸送容器を開けてドライアイスを追加投入する(リアイス)対応を要しておりました。

近年医薬品の安全性・異物混入阻止への希求に応えるため、輸送期間中のリアイスを望まないお客様も増えており、より長い温度保持機能を持ったパッシブ型の輸送容器が求められております。

 

医薬品用 真空断熱保冷容器「VIXELL®」の特徴

VIXELLは世界的な家電メーカーであるパナソニック株式会社が提供する、医薬品輸送用の真空断熱容器です。同社が特許を有する真空技術を活用し、継ぎ目のないシームレスな真空断熱材を一体成形することで、他に類を見ない高品質な温度維持性能と、堅牢性が大きな特徴です。

大きさはみかん箱ほどのType-Sと、それより一回り大きいType-Lの2種類で、濃紺色のナイロン製のバックの中に真空断熱容器が入っています。その中に設定温度ごとに異なる蓄熱ユニットが含まれており、そのユニット内に商品を納めて利用するパッシブ型の輸送容器です。

VIXELLの特徴は 「圧倒的な保冷性能」と「電波透過性に優れている」こと、そして「堅牢で、繰り返し使用可能」 の3点です。

保冷性能 について、Type-Lでは-60℃~-79℃を最長18日間、+2℃~+8℃、+15~25℃、-15~-25℃の各温度帯を最長5日間保持することが可能です。
-60℃~-79℃の温度保持能力が18日間になりますと、海外の製薬会社からワクチンを引取り、日本向けに航空輸送し、医療機関にご配送する所要日数(約3~5日)に加えて、更に約2週間保冷状態を維持できる計算となりますので、冷蔵設備がない場所で冷蔵庫の代用品としてもご活用いただけます。

電波透過性に優れている ことで、ロガー(温度やGPSなどのセンサー、デバイス)をVIXELL内に設置することで、容器内の保冷状況や位置情報などのリアルタイムトレースが可能になりました。これにより、より安全・安心に医薬品を国際間で輸送することが可能になります。

堅牢性が高い ことにより、容器を繰り返し利用することが可能になります。使い捨て容器と比較して経済的で、持続可能な社会の実現に貢献することが可能です。
また、アルミフィルムを用いた従来の真空断熱パネルは、落下などの衝撃で簡単に破損し、真空状態の劣化が大きな課題でしたが、VIXELLは国際輸送協会が定める落下試験でも破損しない強度が特徴です。

パナソニック社が長年培った技術がふんだんに盛り込まれたVIXELLによって、医薬品の国際輸送品質がさらに向上することが期待されます。

VIXELLに関する詳細はこちらをご覧ください。
医薬品輸送向け保冷ボックス「VIXELL」| Panasonic
※YouTube(コンセプト動画)

 

日新の医薬品物流の強み

医薬品物流では、法令や輸送における様々な規定への留意が必要となることから、日々情報をアップデートすることに努め、お客様に情報提供しております。
「薬機法」以外にも、品目によっては「動物検疫」や「ワシントン条約」などの該非確認も必要になり、税関への申告面では輸入者が輸出者に「ロイヤリティ」や「マイルストーン」を支払った場合には、輸入申告時に加算が必要になることがあります。
こうした内容を見落とすことが無いように、長年細心の注意を払って対応しております。

また当社は現在23カ国に自社拠点を設置し、医薬品についても日本発着の案件を豊富に取扱っております。医薬品物流においては特に輸入国の法令を確認しながら輸出配を行うため、お客様から「日新のネットワークによる一貫輸送で安心感がある」とご評価をいただくこともございます。

当社の中でも医薬品取扱実績が豊富なベルギー、ドイツ、フランス、タイ、日本の各国では医薬品の流通における品質管理基準を定めたGDP認証を取得するなど、輸送品質の更なる向上に注力しております。

2023年4月にGDPを取得したタイ日新の医薬品物流

 

日新 × VIXELLの活用提案

当社では以下のような課題感をお持ちのお客様に当社専門チームによる医薬品物流サービスと、VIXELLの活用をご提案します。

①研究や試験に用いる医薬品の輸出入を検討されている方
✔ VIXELLはコンパクトなので、少量の輸送にも最適です
✔ 当社専門チームが通関・関係法令の対応、最適な輸送をフルサポートします

②温度逸脱や商品のトレーサビリティ、輸送状態の管理にお悩みの方
✔ VIXELLは保冷性能が非常に高く、より長期間の低温輸送が可能になります
✔ VIXELL電波を透過する材質の為、ロガーやIoTデバイスを併用することで、
輸送状況や位置情報をリアルタイムに把握することが可能になります

③繰り返し利用可能な医薬品輸送容器をお探しの方
✔ VIXELLは堅牢性が高く、国際輸送においても繰り返し利用が可能です
✔ 当社はリターナブル容器の管理アプリ・運用サービス提供しております

④医薬品輸送容器を特定の期間だけ利用したい方
✔ VIXELLは販売だけでなく、レンタルでの容器のご提供も行っております
✔ One-Wayレンタルサービスも日本・欧州・北米で順次開始いたします
(当社欧州ブリュッセル支店でVIXELL容器デポ事業を開始いたします)

■One-Wayレンタルイメージ

医薬品物流の現場では 「法令順守」 「品質維持」 「早期配送」 の要素を高水準で求められることから、高品質な国際輸送サービスの提供と、各国間での円滑なコミュニケーション、法令情報の把握が不可欠となります。
当社のグローバルネットワークと医薬品物流のノウハウを是非ご活用頂き、各国の手続きに関するご質問なども、お気軽に当社医薬品専門チームまでご相談いただけますようお願いいたします。

また、VIXELLについてもトライアルでのご提供も行っておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお声掛けください。