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海上コンテナ【ISOタンクコンテナ】

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2022.09.26

液体を海上コンテナで運ぶには、様々な方法があります。

 

ドライコンテナにフレキシタンク、IBCやドラム缶といった各種容器に入れて輸送するなど、積載する品物の性質や物量、資材や積卸のコスト面で左右される場面が多く、一⻑一短といえます。
そこで今回は、大量の液体を運ぶのに最適なタンクコンテナについてご紹介します

タンクコンテナとは

幹線道路や工場地帯をよく走行していることがありますので、一度は見たことはある︕

というコンテナだと思います。

しかし実際に利用しているかというと、利用されている方は少ないのではないでしょうか︖
タンクコンテナは大量の液体輸送に特化したコンテナで、ISO規格に則ったサイズになります。従ってドライコンテナと同様に船舶・トラック・鉄道での輸送が可能です。シームレスな輸送を実現し、労務時間や積み替え等のコストや手間も削減。環境にもコストにも優しい輸送手段といえます。

 

タンクコンテナに積める品物は??

一般的には普通品・危険品を問わず、化学品や石油製品の取りいが主体となります。(輸送可否ついては、運行船社や当該国の規制によります)この他食品原料や酒類、液化ガスといった品物の性質に見合った条件のタンクコンテナが各種用意されております。

 

日新のタンクコンテナ事業

創業101年になるオランダに本社を置くデンハートフ社は化学品物流会社です。ヨーロッパ域内での化学品輸送を主体に発展してきましたが、2011年にタンクコンテナオペレーターとして全世界へ事業を拡張。現在では約25,000のタンクコンテナを運用する世界有数のオペレーターに成⻑しました。古くて新しいタンクオペレーターとして、五大陸にネットワークを展開しております。

当社は2014年よりデンハートフ社の日本総代理店として、日本発着はもちろんのこと3国間の輸送についてもご手配を承っております。

 

デンハートフ社のタンクコンテナをじっくりみてみよう

一口にタンクコンテナといっても、積載物の目的により細かく22種に分類されます。
なかでも液体化学品輸送に多く用いられるT11タンクコンテナにスポットをあててご紹介します。
T11コンテナは積載容量により約24、25、26klの3種があり、今回は最大約26klの容量を持ち、かつタンク体内部に液体の揺れを低減する障壁(防波板/Baffle)がついたものになります。

 

赤い外枠は20fコンテナと同一規格のため、保管・積載時に段積みができ、船舶・トラック・鉄道、荷役機器に至るまで通常のコンテナと同様の取扱いが可能です。タンク体は保温構造となっており、外皮とタンク体本体の間には、ロックウール(RockWool)とよばれる 50㎜ 厚の断熱材に巻かれ、外気の影響を受けにくい構造になっています。

ISOタンクコンテナ前面

タンク前方には、コンテナスペックが記入されています。

 

①タンクナンバー
DHD 所有者コード…デンハートフ社の固有のコード
U 機材の種類/貨物用コンテナを表示
219832 チェックディジット
1 チェックディジット
②サイズコードとタイプコード
22 ⻑さ 20F(6,058mm)/高さ 8ʼ6”(2,591mm)/グースネックトンネルなし
K2 危険物・非危険物液体/最大圧力 2.65 気圧以上〜10 気圧以下
③ 最大制裁重量
④ 自重
⑤ 最大許容使用圧力
⑥ タンク容量(MAXIMUM ALLOWABLE WORKINGPRESSURE )

 

このような表記は通常のドライコンテナにもありますが、最大許容使用圧力・タンク容量といった記載はタンクコンテナならではの記載事項になります。

ISOタンクコンテナ側面

続いて、コンテナ側面をみてみましょう。
右上にコンテナ前面と同様のコンテナナンバー、サイズコード・タイプコードの記載があります。

⑦危険品ラベル等の掲示位置
⑧拡大図

UN T11
タンクコンテナの種類
L4BN
ADR(ヨーロッパの危険物輸送規格)に合致
BAFFLED 3X:PARTIAL LOADING ALLOWED
防波板版つき3区画/低充填率での積載可能
*海上輸送上、危険物は 80-95%の充填率に収める規定(IMDG)がありますが、防波板が設置されることで、80%以下での積載も可能となります

 

⑨データプレート

 タンクコンテナの各種情報が刻印された、重要なプレートになります。 左上から所有者・オペ―レーター
 名(デンハートフと刻印があります)、タンクコンテナの製造者・製造年月(CIMC 製・2020 年9月製造)、
 各種スペックの数値がならび、その下には検査を行った会社名がみられます。

 

右上からタンク体の材質等の情報、重要な検査年月日(2020 年 9 月 19 日)です。通常2年半毎に気密検査、5年毎に水圧検査が義務づけられています。 ちなみに本コンテナは 2020 年9月の新製時の年月日が記載されているのみで、その他は空欄です。その下の情報は、安全基準を満たしている旨の記載や、次の検査期限(2025 年9月)といった刻印がみられます。

 

 

ISOタンクコンテナ後部

⑩タンク上部へのアクセス用はしご
⑪下部積込(吐出)口
 BOTTOMDISCHARGEとよばれる弁で、工場側ポンプ・空気圧での圧送により充填・排出する、また重力を利用
 し排出するパーツです。この部分は底弁(FOOTVALVE)〜バタフライ弁〜キャップの3重構造になっており、
 流失防止が図られています。
⑫内部温度計
⑬蒸気管
荷役に際して加温・保温が必要な場合には、タンク体の底部に通された蒸気管で加熱、適正温度を保つ構造になっています。
このコンテナでは蒸気の給気と排気のために、接続部が設けられています

 

ISOタンクコンテナ上部

段はなかなか見ることのできない、タンクコンテナの上部に上ってみました。歩み板はコンテナの両サイドにつき、3か所に各種ハッチがならびます。(なお、撮影の都合上ハッチが2か所のみのとなる旨ご了承願います)
⑭コンテナナンバー:外枠のフレームにはタンクコンテナ・ナンバーが記載されます。ガントリークレーンでの作業
 時に確認をするための表記です。
⑮マンホール
洗浄や積込に使われるハッチになります。
⑯マンホール+
 安全弁
コンテナ内部の圧力が 4.4 気圧を越えると作動し、内部圧力を減圧。
⑰マンホール+
 通気弁+
 上部積込
 (排出口)
写真右上が通気弁、荷役時の圧力調整や毒性・臭気物・大気に触れない密閉荷役が必要な際に使用。上部積込(排出口)は、下部からの荷役が安全上や性質上できない品物に対して使用。

 

安全な輸送のために

タンクコンテナがヤードに返却されると、都度メンテナンス作業が行われます。
具体的には前使用時の残量物がないように、適正な薬剤を使用したタンク内の洗浄作業をはじめ、必要に応じて、各ハッチやバルブ類のパッキンの交換、時にはバルブそのものを交換することもあります。洗浄後はITCO(タンクコンテナ国際機構)の整備基準に即した保守管理が行われたことを第三者機関立ち合いの上、検査が行われます。これはすべてのタンクコンテナが対象で、検査に合格すると洗浄証明書が発行されます。出荷元の充填工場でも提示が求められる重要書類となります。
なかなか利用する機会の少ないタンクコンテナ・サービスですが、大量の液体の安全かつ低コストに輸送するのであれば、ベストといえる輸送手段です。液体輸送のハンドリングにお困りであれば、ぜひご相談ください︕

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